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Netflixシリーズ「地獄が呼んでいる」独占配信中

「地獄が呼んでいる」=〈笑ってはいけない〉?

「地獄が呼んでいる」はドイツの「ダーク」(2017~2020年)、アメリカの「The OA」(2016~2019年)の韓国版なのかなと。韓国ドラマの多くは、日本の漫画をお手本にしてるのかなと思うのですが、今回は〈いがらしみきお〉だと思いました。いがらしきみきおの「I」や「Sink」に近かったです。

「I」のテーマになっている、生と死、人生、祈り、奇跡、そして宗教……。こうして並べると全部ポジティブなものばかりなんですけど、これらが生む気持ち悪さや怖さが「I」では描かれています。さらに「Sink」の奇妙な現象によって日常が壊れていく感じ、あとこちらは武富健治ですけど「古代戦士ハニワット」も入っているかな。

ヨン・サンホ監督が、いがらしきみきおの漫画を読んでたらおもしろいですよね。

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でも、いちばん影響を与えているのはダウンタウンのガキ使〈笑ってはいけない〉シリーズかもしれません。「地獄が呼んでいる」の、あの得体のしれないものが仕事を終えて、満足そうにどっか(本当にどこ?)に帰っていく姿は、松ちゃんらをケツバットして帰っていく黒子の人にしか見えません。

あの変なもののひと仕事終えた感じは、何回見ても笑えてしまいます。

韓国の役者人もすごいです。死の宣告を受けてしまうお母さん役のキム・シンロクさんなんか、いがらしみきおの漫画にしか出てこない顔をしていて、〈どこでこんな役者を見つけてきたのだろう〉と調べたら、普段はちゃんと検事さんとかインテリな役もしていてビックリします。あのYouTuberを演じたヨン・サンホ監督作品の常連役者、キム・ドユンも最高でした。彼のキャラなど日本の漫画にしか登場しない感じだと思うんですが、それを現実(いや、ドラマですが)にいるかのように演じています。そんなキャラに扇動されて出来たグループ〈矢じり〉のファッションがイギリスでいうとチャブス、日本でいうとヤンキーの格好をしていたのが笑いました。こういう細かい描写がリアルなんです。

 

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いまだ謎に満ち溢れ、どうなるのかがわからない

しかし、このドラマはいったいなんなんですかね、いまの世の中に救世主(ジーザス)が現れたらどうなるか、という物語じゃないのかなと思っていたら、その救世主は結構早い段階でいなくなりました。あ、このいなくなるところは映画「セブン」(95年)の感じでしたね。

でも、シーズン1の終わりで救世主になりそうな人が現れ、あの世から蘇ってきた人もいて、このドラマはいったい何が言いたいのかという謎に満ち溢れています。

これうまく収拾できるのでしょうか? ちゃんとオチを考えているのか、それともデヴィッド・リンチみたいに〈そんなの何も考えてないよ。そんなのを考えてたら、おもしろい作品は出来ないじゃないか〉みたいな感じなのか。いずれにせよ楽しみです。いや、デヴィッド・リンチだとあかん! ちゃんと回収してもらわないと困ります。「The OA」は人気がなくなって打ち切りになりましたし、「ダーク」はちゃんと完結しましたけど、なんかよく意味がわかんなかった。「地獄が呼んでいる」はどうなるんでしょうね。