カメラマン/音楽ライターとしてロック・ヒストリーにその名を残すクボケンこと久保憲司さんの連載〈久保憲司の音楽ライターもうやめます〉が、名前を〈クボケンの配信動画 千夜一夜〉と変えてリニューアルしました。Netflixなど配信動画サーヴィスが普及した現在、寝る間を惜しんで映画やドラマを楽しんでいるというクボケンさんが、オススメ作品を解説してくれます。
3回目となる今回は、年末企画として〈久保憲司の選ぶ、2020年配信ドラマ/映画ベスト10〉を紹介。お正月休みの鑑賞ガイドとしてお役立てください! *Mikiki編集部
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とんでもない2020年が終わろうとしています。第3次世界大戦なんかないと思ってたけど、このコロナ禍がそうなのかもしれません。第2次世界大戦の後に、若者文化(カウンター・カルチャー)が花ひらいたように、コロナ後は、おもしろい若者文化が生まれるんじゃないかと思っている久保憲司です。
それまでは、海外ドラマでも観て気を紛らわしましょう。皆さんも自粛期間中に海外ドラマをたくさん観たと思われますが、それでもまだ結構観逃していたりしていませんか? というわけで、2020年の配信海外ドラマ、映画ベスト10です。
10. ダーク(Netflix)
まずは10位。ヘヴィーなSFダーク・ミステリーの傑作「ダーク」です。ドイツ製作のタイム・パラドックス/ループものなんですけど、こんがらがった話をちゃんとシーズン3で決着つけているそうです。ドイツ人すごいなと。すみません、僕はまだ最後まで観ておりません、自粛で暇な時間ありあまってたんですけどね。年末年始にちゃんとシーズン1から観直して、最後までノンストップで観ようと思ってます。噂通りちゃんと辻褄があっているのか、確かめます。
9. ウエストワールド(Amazon Prime Video)
みなさん、忘れていませんか? アンソニー・ホプキンスもキャスティングされていて、すごいお金をかけて作った「ウエストワールド」。シーズン2のオチが永井豪か石ノ森章太郎のマンガのようになっていて、突拍子がなさすぎるだろということで、たぶん総スカンを食らったんだと思いますが、シーズン3が今年から始まり、一応ちゃんと完結しました。内容的にはロボットが人間社会を壊しにくるという話だと思ってたら(これだと楽しかったんですけど)、人間社会もコンピューターにより「ウエストワールド」のようになっていたという話なんです。わかりにくいんですが、これをヒントに観てみてください。
「最後の猿の惑星」と同じように予算がなくなったからなのか、しょぼい未来都市なんですけど、でもなんか憎めないお話なんです。脚本にもお金をかけられなかったんでしょうね。それかシーズン4くらいまで作る予定だったのをまとめてしまったので、ごちゃごちゃになったんでしょう。自分のなかで修復しながら観てやってください。でも自分の生きている世界まで現実じゃないかのようなトリップ感を生んでいる途中の演出はヤバいです。
8. ハリウッド(Netflix)
「glee/グリー」や「アメリカン・ホラー・ストーリー」を作ったライアン・マーフィーが手がけているのに、あまり話題になっていないので打ち切りが心配な「ハリウッド」。タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のような歴史改変もの。
夢と希望にあふれるハリウッドが実は残酷な弱肉強食で非道な世界というのは誰もが知っていることですけど、そんなハリウッドが本当に夢と希望にあふれる場所だったらどんな感じになるだろうという展開で楽しませてくれます。
悪い人もどんどんと改心していって良い人になっていくんです。ストリーミング・ドラマらしくない、ハッピーエンドの展開で走らせていくんです。唯一改心しない人が1人いるかな……でもそれはギャグなんで、ご愛嬌。僕の予想だとシリーズを追うごとに40年代、50年代、60年代……とハリウッドの歴史を考察していく話だと思うので、早くシーズン2制作開始のニュースを聞きたいです。