カメラマン/音楽ライターとしてロック・ヒストリーにその名を残すクボケンこと久保憲司さんの連載〈クボケンの配信動画 千夜一夜〉。Netflixなど動画配信サーヴィスが普及した現在、寝る間を惜しんで映画やドラマを楽しんでいるというクボケンさんが、オススメ作品を解説してくれます。
年末企画〈久保憲司の選ぶ、2020年配信ドラマ/映画ベスト10〉に続く2021年第一回目は、ドキュメンタリー・シリーズ「あなたの知らない卑語の歴史」を紹介。人気俳優のニコラス・ケイジをホスト役に〈ファック〉や〈シット〉といった卑語が、どういった経緯のもと現在のような意味合いで使われるようになったかを解説している作品です。クボケンさんも感心した卑語の奥深さとは? *Mikiki編集部
ニコラス・ケイジが卑語をナヴィゲート
英語でいちばん好きな卑語は〈マザーファッカー〉の久保憲司です。
世界でいちばん〈マザーファッカー〉をうまく言う人といえばサミュエル・L・ジャクソン。だからネトフリの「あなたの知らない卑語の歴史」の司会もサミュエルがいいなと思ったんですけど、司会はニコラス・ケイジがやっています。
まっ卑語は〈ファック〉だけじゃないですもんね、今回とりあげられているのは〈ファック〉〈シット〉〈ビッチ〉〈ディック(おちんちんね)〉〈プッシー〉〈ダム(地獄に堕ちた野郎どもことダムドのダムね)〉。サミュエルに似合う言葉と言えば〈ファック〉〈シット〉〈ビッチ〉〈プッシー〉〈ダム〉ですかね、あれ、ほとんど全部です。ニコラス・ケイジが全部似合うかというとそうでもないと思うんですが、「オーソン・ウェルズ劇場」のオーソン・ウェルズのように貫禄ある司会っぷりを見せてくれています。
あと卑語は黒人の大事な文化の一つなので、白人のニコラス・ケイジに司会をさせるほうが、客観性が出ていいんだと思います。