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SOAK “last july”


天野「英・北アイルランド出身、ブライディ・マーンズ・ワトソン(Bridie Monds-Watson)のソロプロジェクトであるソークの新曲“last july”。この曲は、2019年作『Grim Town』に続くサードアルバム『If I Never Know You Like This Again』からのシングルです。ファズギターと力強いドラムが印象的なロックナンバーで、どちらかといえばフォーキーな曲を得意としていたデビュー時からの変化が窺えます」

田中「制作は長年のコラボレーターであるヴィレジャーズのギタリスト、トミー・ミクロクリン(Tommy McLaughlin)と行ったそうですが、新作のインスピレーション源はブロークン・ソーシャル・シーンやレディオヘッド『The Bends』なんだとか。彼女の憂いを帯びた歌声と浮遊感や疾走感を伴ったロックサウンドとの相性のよさは、すでにこの“last july”で証明されているなと感じました。新作『If I Never Know You Like This Again』は5月20日(金)にリリース。UKロックシーン期待の一作と言えますね!」

 

Rex Orange County “KEEP IT UP”

田中「イェ―イ。ついにレックスくんことレックス・オレンジ・カウンティがカムバック。約2年ぶりの新曲“KEEP IT UP”がリリースされました。クラシカルなストリングスを効果的に使ったポップソングで、最高ですね!」

天野「〈レックスくん〉って……。この曲は、3月11日にリリースされるニューアルバム『WHO CARES?』からのリードシングルです。アルバムは、人気曲“Loving Is Easy”(2017年)でコラボしたオランダのポップ職人、ベニー・シングスとアムステルダムで制作したのだとか。ROCをいち早くフックアップしたタイラー・ザ・クリエイターの参加曲が収録されている、というのも楽しみです」

田中「超期待! レックスくんの2019年のアルバム『Pony』は内省的な作品だっただけに、今回の『WHO CARES?』はポップな側面がついに開花した作品なのでしょうか。〈頑張り続けるだけ/あなたは自分が求めるもののためだけに努力すればいい/見知らぬ誰かのためではなく/それで充分さ〉という歌詞はアーティストとしての態度表明のように読めて、ちょっと泣けました。まるでジュニア・シニアの名曲“I Like Music (W.O.S.B.)”(2005年)みたいじゃないですか!」

 

High Pulp feat. Jaleel Shaw “All Roads Lead To Los Angeles”

田中「米シアトルのエクスペリメンタルジャズコレクティブ、ハイ・パルプがアンタイからデビューアルバム『Pursuit of Ends』を4月15日(金)にリリース。同作から、“All Roads Lead To Los Angeles”がファーストシングルとして発表されました」

天野「ハイ・パルプは、現在のコアメンバーは6人なのだそうですが、2020年のKEXPのライブ動画を観ると9人で演奏していて、流動的なグループなんだなと思いました。あと、YouTubeではフランク・オーシャンの“Unity”からカシオペアの“スワロー”まで、さまざまな曲を演奏したカバー動画を観ることができておもしろい。この“All Roads Lead To Los Angeles”でフィーチャーされているのは、ロイ・ヘインズのバンドやミンガス・ビッグ・バンドでの演奏で知られるアルトサックス奏者のジャリール・ショウ(Jaleel Shaw)です。彼のソロプレイも最高なのですが、自由に伸び縮みするかのようなバンドの演奏がまた圧倒的。確かな技術力を感じさせる一方で、感覚的かつスペーシーでコズミック。〈アウトサイダーの集まり〉だという彼らには、今後も注目したいですね!」