天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の5曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。今回は特別編として、2022年に僕たちが注目している新人アーティスト、活躍を期待しているニューカマーを紹介します!」

田中亮太「ロックやポップからヒップホップ、アフロビーツやダンスホール、さらにダンスミュージック、ジャズまで、多種多様なジャンルのアーティストを15組セレクトしました」

天野「本当はまだまだ紹介したいバンドやラッパー、シンガー、プロデューサーなどがたくさんいるのですが、亮太さんと議論して厳選しました。この記事を入口にして、さらに深くディグってもらうといいんじゃないかな、と思います」

田中「ここで紹介したアーティストの曲+αを選曲したSpotifyプレイリストを記事の最後に用意しているので、そちらも聴いてほしいです。また、読者のみなさんのおすすめのアーティストも教えてもらいたいですね! 前置きはこれくらいにして、まずはナイジェリアのライジングスターから!!」


 

Ayra Starr


天野「モデルとしてキャリアをスタートさせたアイラ・スターは、いま国際的に注目されているナイジェリアのシンガーソングライターです。2021年に彼女が発表したデビューアルバム『19 & Dangerous』は、アフロビーツやR&Bがミックスされた、洗練された音楽性が最高でした。収録曲のなかでもアフロポップナンバーのシングル“Bloody Samaritan”がヒットして、女性のソロアーティストとして初めてナイジェリアのトップ50チャートの1位を獲得、という偉業を成し遂げたアイラ。まだ19歳ですが、今年はUKやUSにその影響力を広げそうです」

 

Blue Bendy

田中「ブルー・ベンディは、英サウスロンドンを拠点に活動する6人組のバンドです。ここ数年で頭角を現した同地のバンドと同様に、彼らもインディーロックにさまざまな音楽を混ぜたサウンドが特徴。これまでに発表されたシングルにはポストパンク的な荒々しさとポストロック/エレクトロニカを思わせる浮遊感が同居していて、かなりおもしろいです。ORMのインタビューで影響を受けたバンドにブロードキャストやステレオラブを挙げていたのも納得というか、90年代のラウンジミュージックを再解釈したサウンドとしても興味深い。そんな彼らは、2月11日(金)にファーストEP『Motorbike』をリリースします」

 

caroline


天野「英ロンドンの8人組、キャロライン。即興セッションでアンサンブルを形作ってきたという彼らは謎に包まれた存在ですが、2月25日(金)にラフ・トレードからリリースされるデビューアルバム『caroline』でその全貌が明らかになるのでしょうか? これまでに発表されたシングルを聴いても、その不定形な音楽には掴みがたい、不思議な感触があるんですよね。メンバーのバックグラウンドはエモ、アパラチアンフォーク、ミニマルミュージックなどかなり多様なのだとか。それらが渾然一体となった音楽は、唯一無二だと思います。現在のUKのシーンの盛り上がりを象徴するバンドとしても要注目で、昨年から僕は彼らをめちゃくちゃ推しています!」

 

Fase Yoda


天野「フェイス・ヨーダは、米ルイジアナの新鋭ラッパー。昨年6月にリリースしたファーストシングル“Butterflies”がいきなりバイラルヒットして、特にTikTokでバズりました。その後、ヤング・サグが主宰するレーベルのYSLからセカンドシングル“Messed Up”を発表。彼が正式にリリースした曲はその2曲しかないのですが、TikTokのフォロワーはすでに110万人超。まさに、TikTok発のスターなんです。ちなみに、YSLは新人の発掘や育成に積極的なので、同レーベルがリリースする作品にはぜひ注目してください」

 

GAYLE


天野「米ナッシュビルを拠点にする17歳のシンガーソングライター、ゲイル。2021年8月に発表したデビューシングル“abcdefu”がTikTokを中心にバイラルヒットし、アメリカ以外でもヨーロッパやオセアニアなどで爆発的な人気を博しました。その“abcdefu”がどんな曲なのかというと、なんと〈あんたの犬以外全員消え失せろ〉と歌う元カレ全否定ソング(笑)! それが、特にティーンたちの心を掴んでいるのだとか。先日、待望のセカンドシングル“ur just horny”がリリースされたばかり。オルタナティブロック調のサウンドも含めて、今後が楽しみな逸材ですね。一気にスターダムを駆け上がった彼女は、〈2022年のオリヴィア・ロドリゴ〉になるかも?」