わたくし奥冨が、今聴いているアーティストや作品について愛情たっぷりにお伝えしていく連載〈BOY 奥冨直人の宇田川放送委員会〉。第13回目となる今回は、自身の原点回帰でロックバンドに絞って御紹介。

downt 『downt』 ungulates(2021)

1. downt 『downt』
2021年に結成されたばかりの東京の3ピースバンド。昨10月にリリースされたセルフタイトルのファーストアルバムは、ポストロックやオルタナティヴロックの影響を強く感じつつ、ポップスとして確かに成立するメロディーセンスと、胸を優しく苦しめる強く儚いヴォーカルが炸裂した一作。必聴の“111511”で、その感覚はビシビシと伝わってくるでしょう。結成して1年とは思えない存在感で、身近な対バンでも良く名前を拝見しております。近くライヴに伺いたいなと思いつつ、今年はこうした自分のルーツに通ずる様なバンドサウンドと進行形でより濃く向き合っていきそうです。

 

Luminous101 『Friction State』 FLAKE SOUNDS(2022)

2. Luminous101『Friction State』(FLAKE SOUNDS)
東京を拠点に活動するLuminous101は、2019年のセルフタイトルアルバムが衝撃的に傑作で、当時何度も繰り返し聴いていました。“レンガの塔”や“磁気帯び”はアンサンブルを丁寧に積み上げながら、90年代後半J-Popの名曲の様な温かさも冷たさも表裏一体の切ない印象の楽曲。今年はより活動的で、立て続くリリースやツアーを発表。先行リリースされた“Este”の心地良いサイケデリックさにまたハマっていたのでこの新作を紹介させて頂きます。

 

Bearwear 『The Incomplete Circle』 ZAYA(2021)

3. Bearwear『 The Incomplete Circle』(ZAYA)
僕のお店に来てくれて知り合ったのがもう3年半位前?でしょうか。2018年のボーイ・パブロ来日ライヴでのDJでは、彼らの“e.g.”をかけた事もありました。活動は陰ながら見ていましたが、昨年末のアルバムが気分的にバチッときたので御紹介。デス・キャブ・フォー・キューティ、コープランドやサムシング・コーポレート等の00年代初頭~中頃のエモな影響を感じるサウンドに、英詞と日本語詞を使い分けて表現しているのも気持ち良いです。

 


PROFILE: 奥冨 直人(BOY)
平成元年・埼玉県生まれ。ユースカルチャーを発信するファッションと音楽のコンセプトショップ〈BOY〉を2009年渋谷円山町にオープン。2014年に現在の宇田川町店舗に移転・独立。現在スペースシャワーTVにて配信番組「スペトミ!」のVJを担当。DJやスタイリングなど日々の活動は多岐にわたり、どんな時代も楽しく暮らしている