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SERPENTの曲を今の音質で録り直したらすごくいいものになる

――確かに『xGODx』では音楽的に新たな要素も散見されましたが、リスナーからはポジティブな進化と受け止められていた気がします。その後、Keijaさんは2010年にVeiled in Scarletを立ち上げて現在に至るわけですが、今回、SERPENTの楽曲を採り上げてアルバムを作ることになったのは、どんな経緯があったんですか? Veiled in Scarletのライブで演奏されている曲もありましたし、2017年には“Cradle of Insanity”をレコーディングした音源を無料配布したこともありましたね。

Keija「そうですね。ライブでSERPENTの曲をやると、やっぱりすごく盛り上がるんですよ。そのたびに(廃盤となっている)CDを再販してくださいって声がとても多く寄せられて。中古盤も高値で取引されているようでしたし。

それに、個人的には『CRADLE OF INSANITY』は音質面で気に入ってないところがあったんですよね。だから、今の音質で改めて作ったら、すごくいいものになるだろうなって思いはずっとあったんですよ。

具体的に考え始めたのは……2018年ぐらいですかね。その走りとして、“Cradle of Insanity”を無料配布したんですけど、やっぱり反応がよかったんですよ。その翌年ぐらいに配った“Suicide Diary”も、同じようにいい反応が得られて。そこで(セルフカバー作品のリリースを)決めましたね」

2017年のライブ〈Lament - Live Tour - Oneman Live〉で配賦された“Cradle of Insanity”トレーラー

――そのアイデアを、Shinさんはどう受け止めました?

Shin「楽しみは楽しみだったんですけど、僕も(SERPENTの)Kenさんのボーカルがすごく好きで、めちゃくちゃカッコいいと今でも思ってるんですね。当時の仕上がりも本当に完璧だなと思いますし。

だからこそ、どうやったら、それを超えるものが作れるのかと、正直、プレッシャーは感じてました。でも、やってやるぞって気持ちではありましたね」

――ライブではSERPENTの曲は何曲ぐらいやっていたんですか?

Keija「2019年の年末に、ライブを1部と2部に分けてSERPENTの曲をやったことがあるんですけど、そのときには10曲近くやってたと思います」

Shin「そういう意味では、歌い慣れてると言えば歌い慣れてたんで、そこは心配はなかったんですよね。自分が歌って、どういう形になるかは、ある程度は想定できましたし、“Cradle of Insanity”も1回レコーディングを経験してましたからね」

――Keijaさんとしては、選択肢はもう一つあったと思うんです。Veiled in Scarletがある一方で、同時にSERPENTのボーカリストだったKenさんとも2019年からGrave to the Hopeを始動させている。そちらで取り組んだほうが、セルフカバー色は強くなると思うんです」

Shin「それは僕も同じことを思ってましたね。Kenさんもシーンにいる状態で、僕がやっていいのかなみたいな」

Keija「Shinはずっとそう言ってましたね。ただ、時系列で言えば、Veiled in ScarletでSERPENTのリメイクをやりますよと公言した後に、Grave to the Hopeが始まってるんですよ。一度言ったものを撤回するのもカッコ悪いですからね(笑)。そこはKenも納得してる話なんですよ。

実際にGrave to the Hopeは完全体のバンドじゃないので、僕がレコーディングでギターもベースも全部となると、ものすごい労力になりますし。Veiled in Scarletはバンドとして完成されているものなので、こっちでやったほうが絶対にスムーズですからね」

Grave to the Hopeの2020年作『PROVIDENCE』トレーラー