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評価の高まり

 数字的な話をすると、同アルバムはUKチャートで最高80位という、いささか寂しい結果しか得ていないのだけれど、年の瀬を迎える頃になって、ようやく評価・絶賛の声が高まっていった。米ニューヨーク・タイムズ、USAトゥデイ、ビルボード、英ガーディアン、NMEなどの大手メディアが、こぞって彼女の『Sawayama』を2020年の年間ベスト・アルバムの1枚に選出。イギリス国籍がないため選外としたマーキュリー賞に至っては、エルトン・ジョンらが批判の声を挙げて、既存ルールが変更されるというドラマティックな展開も。そのエルトンからは惜しみない賞賛を受け、両者は彼女のナンバー“Chosen Family”でデュエット共演。リナが〈多大な影響を受けてきた〉と認め、敬愛するレディー・ガガからは“Free Woman”のリミックスに参加してほしいとの依頼まで舞い込んだ。さらに2022年に入ると、以前から交流のあったチャーリーXCXの“Beg For You”にゲスト参加し、ブラジル人ドラァグ・シンガーのパブロ・ヴィターと“Follow Me”で共演。次々と話題を振り撒き、評価と期待が最高潮に達したところで投下されたのが、約2年半ぶりのセカンド・アルバム『Hold The Girl』というわけだ。