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TANAKAHMANN(新宿店)

高橋幸宏氏がお亡くなりになられた。

YMOやサディスティックス、THE BEATNIKSやSKETCH SHOW、近年ではMETAFIVEなどなど、その正確無比で唯一無二のマンマシーンなドラマーとしての評価や、スタイリッシュなシンガーソングライター/プロデューサー、さらには俳優/アクターとしての側面まで、語り尽くせぬ氏の才能とセンスあふれる活動において、私個人がいまもなお強烈に憶えているのは流しのドラマー〈ジャッキーテル彦〉だ。

90年代半ば、地上波で約半年間放送されたシュールなコント番組「竹中直人の恋のバカンス」。ビシバシステムや片桐はいり、温水洋一などクセしかないレギュラー陣に交ざって出演されていたユキヒロさん。

吉祥寺は井の頭公園を舞台にした〈流しな二人〉と題したコントでは、流しの演歌歌手=チャーリーボブ彦(竹中直人)の傍若無人な振る舞い・言動に堪えつつ相棒としてドラムを叩くユキヒロさん。
たぶんYMOでもサディスティックスでもなく、僕が初めて高橋幸宏を認識したのはたしかこの番組だった。

「なんか耳障りダァおめェのドラムは!」

世界の高橋幸宏にとんでもない暴言を吐くチャーリーボブ彦。

そーいえば家にDVD-BOXあったなあ。今夜はふたりの掛け合いを見ながら呑むとするか。

 

三橋俊弘(東浦店)

初めて買ったCDがサディスティック・ミカ・バンド再結成アルバム『天晴』

誰かも知らずにCMで聴いてかっこよいなと思った中1の春。

“Boys & Girls”の曲頭を聴いたときのワクワクが、その後の自分の音楽の好みにずっと影響を与えてくれているように思います。

サディスティック・ミカ・バンドの89年作『天晴』収録曲“Boys & Girls”

何回も聴くうちにタイトなドラミングと艶っぽい声は、うぶな中学生にもだいぶ刷り込まれたようで……。

その後も遡ったり、新譜だったり、プロデュースだったり、ジャッキーテル彦だったり、たくさん触れさせてもらいましたが、あのとき店頭で違うアーティストのCDとどっちを買うか、さんざん迷ったけど『天晴』を選んだ人生で良かったです!

 

石黒 亮(横浜ビブレ店)

タワーレコードに入社するまで、YMOをちょっと聴いたことがあるくらいと……。全く別ジャンルに夢中になっていた10代~20代。スタッフとして働いていく中で、その偉大さ、音楽性の高さに、今まで聴いてこなかったことを悔やみました。2016年発売METAFIVE『META』は即買い! 面子の豪華さは言うまでもないですが、音色、リズム、グルーヴ、ただただカッコいいの一言でした。あ、音楽の幅広がってるな!と思わせてくれた至極の1枚です。

 

平林大樹(仙台パルコ店)

私がアナログに手を出した2020年当時、プレーヤーを購入後の1枚目は『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に決めており、嬉々として町の中古ショップを巡ったことも楽しい記憶です。発売当時アナログレコードで100万枚を超えるセールスを記録、YMO作品としては誰もが知る1枚であることは言うまでもありませんが、特に好みの1曲、細野さん楽曲“Absolute Ego Dance”のドラミングでご飯何杯もいけます……!

YMOの79年作『SOLID STATE SURVIVOR』収録曲“ABSOLUTE EGO DANCE”

 

竹澤友文(モレラ岐阜店)

音楽面だけでなく、ファッション面など、自身の中で〈カッコいい大人〉のお手本でした。

既に散開していたYMOに夢中になった中学・高校時代、その洗練されたサウンドと同じくらいユキヒロさんのボーカルに魅了されていました。ソロ作や様々なユニットで聴ける、繊細で色気のあるボーカル(個人的に83年作『薔薇色の明日』の美しさは絶品!)は、自身も年齢を重ねるごとにその味わい深さを理解できるようになりました。

 

井原邦雄(メディア編集部)

中学生のときにはライブビデオ「HURRAH」「LIVE AT BUDOKAN 1980」を狂ったように鑑賞し、自分の部屋には新聞に掲載された〈私は反対でした。矢野顕子〉の紙面を壁に貼る始末。以降、一度も飽きる事なくYMOを聴き続け、その間にはソロ作、SKETCH SHOW、METAFIVE、各アーティストへの参加曲などもヘビロテの日々なので、自分の人生の大半で幸宏さんの音楽や歌声は鳴り続けてくれました。もちろん、これからも聴き続けますが、METAFIVEの“See You Again”を再生するにはちょっと時間が掛かりそう……。

聴くと希望の光が差し込んでくる“Something In The Air”が好きだ。日本武道館でクールに演奏する“Riot In Lagos”が好きだ。トリオ・ザ・テクノで披露した〈僕の家のお父さんのマネ〉が好きだ。S.E.T.とのコントでの幸宏さんの名演「広い、広い、広い。(拡大鏡を外すと)狭い、狭いぃぃ。(拡大鏡で見ると)広い、広い。(外すと)狭い。(見ると)広いぃ」が好きだ。愛犬・パスキャルを見つめる幸宏さんの優しい表情が好きだ。

81年作『NEUROMANTIC(ロマン神経症)』収録曲“Something In The Air(予感)”

幸宏さん、数多くの素晴らしい体験をありがとうございました。そして、お疲れ様でした。どうぞ、安らかに。ご冥福をお祈り致します。