音楽の楽しみ方が多様化した今、タワーレコードがおすすめしているのが高音質のSACDで音楽を聴くこと。そのSACDの魅力を伝えている当連載〈SACDで聴く名盤〉の第19回で取り上げるのは、中山美穂さんの4作品です。2022年にタワーレコードの企画で再発した中山美穂さんの『SUMMER BREEZE(+4)』『EXOTIQUE(+2)』『CATCH THE NITE(+3)』、JADOESの『IT’S FRIDAY(+2)』『Free Drink(+1)』『a lie(+3)』『Before the Best(+1)』の好評を受けて、2023年8月30日(水)に『ONE AND ONLY(+8)』、『Mind Game(+4)』、『angel hearts(+5)』、『Hide ‘n’ Seek(+6)』が新たにSACDハイブリッド盤でリイシューされます。今回は、4作をSACDで聴いた際の魅力、音質の良さを酒井俊之さんに解説してもらいました。 *Mikiki編集部
80年代後期の日本ポップス界を席巻、アイドルとして絶頂期の作品
昨夏にタワーレコードで限定販売された80年代の中山美穂のアルバム『SUMMER BREEZE』『EXOTIQUE』『CATCH THE NITE』。初のSACDハイブリッド化、完全生産限定盤のディスクはアイドルファンや音楽ファンのみならず、高音質パッケージファンにも好評を博したことはまだ記憶に新しい。
そして今夏はその第二弾として4枚のアルバムがリリースとなった。『ONE AND ONLY(+8)』(87年)、『Mind Game(+4)』(88年)、『angel hearts(+5)』(88年)、『Hide ‘n’ Seek(+6)』(89年)。今も記憶に強く残る、いずれも80年代後期の日本のポップス界を席巻した人気のアルバムばかりだ。まさに中山美穂のアイドルとしての絶頂期の作品ばかりがずらりと揃っている。
熟練エンジニアが制作、CD層でも楽しめる音の良さ
アルバム全4作は、すべてキングレコードが保管しているオリジナルのアナログマスターテープより復刻。SACD/CDハイブリッド盤制作の監修は、高いスペックのディスク制作には既に定評があるステレオサウンド社のレコード事業部スタッフが昨年の第一弾に引き続いて担当している。SACD/CDハイブリッド制作のマスタリングエンジニアは、キング関口台スタジオの辻裕行氏。辻氏は中山美穂のCD盤復刻では『30th Anniversary Original Album Collection』(2015年)のマスタリングにも携わるベテランエンジニアだ。
今回のSACD/CDハイブリッド盤は〈オリジナルマスターテープから最小限のプロセスでSACD層とCD層のマスターが制作されている〉のが最大の特徴。オリジナルマスターから忠実に変換されたSACDマスター(DSD)が高音質なことはもちろんのこと、CD盤のマスターもSACDマスターのDSD(2.8MHz/1bit)からPCM(44.1kHz/16bit)に変換されたものが使用されているという。つまりCDでもその音の良さは十分に享受することが出来る。SACDプレーヤーをお持ちでない音楽ファンであっても、通常のCDプレーヤーで新しいマスターの素晴らしさをたっぷり味わえるというわけだ。