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DIGABLE PLANETS 『Reachin’ (A New Refutation Of Time And Space)』 Pendulum/Elektra(1993)

米ブルックリン発のオルタナティブヒップホップトリオによるデビューアルバム。ジャズサンプルを中心にしたメロウなビート、時にポリティカルなテーマにも切り込むリリック、しかし耳心地はスムーズで甘い語り口のラップと、東海岸ヒップホップのマナーに則った部分とシーンから少し浮いた独自性が凝縮されている。アート・ブレイキーの“Stretching”のサンプリングが印象的なクラシック“Rebirth Of Slick (Cool Like Dat)”を収録。次作にして最終作『Blowout Comb』(94年)も重要だ。

 

DINOSAUR JR. 『Where You Been』 Blanco Y Negro(1993)

ニルヴァーナをはじめ、90年代のオルタナバンドの先輩格だったJ・マスキス率いるバンド。彼らの代表作といえば『You’re Living All Over Me』(87年)、『Bug』(88年)、『Green Mind』(91年)あたりだろうが、シングル“Start Choppin’”がヒットし商業的な成功を掴んだ本作も重要だ。マスキスの雄弁なギター、親しみやすいメロディ、ファットなサウンドなど、聴きやすさやポップさが成功の理由か。ちなみにルー・バーロウは89年に脱退しており、この時のベーシストはマーク・ラネガンのバンドなどで演奏しているマイク・ジョンソン。

 

EARTH 『Earth 2』 Sub Pop(1993)

ニルヴァーナのカート・コバーンとの友情でも知られたディラン・カールソン率いるバンドの、唯一無二の実験作。ドラムのビートはほぼなし。15分の“Seven Angels”、27分の“Teeth Of Lions Rule The Divine”、30分の“Like Gold And Faceted”という3幕構成で、遅く重たく引きずり、とぐろを巻くドローンメタルを延々と展開する。オルタナ/グランジの時代の表面がニルヴァーナなら、裏面に位置するバンドの怪作。

 

GURU 『Jazzmatazz Vol. 1』 EMI(1993)

イーストコーストヒップホップを象徴するギャング・スターでDJプレミアと活動していたMCがソロデビュー。タイトルどおり、ジャズのレガシーに敬意を払っていることはジャケットからも伝わる。いわゆるジャズラップ(日本で言うところのジャジーヒップホップ)を最もわかりやすい形で体現した名盤。ジャズのサンプリングによるビートを中心にした煙たいムードはもちろん、ドナルド・バード、ブランフォード・マルサリス、コートニー・パイン、ロニー・リストン・スミス、ロイ・エアーズら伝説的ジャズメンを召喚し、生演奏との融合を試みたことも重要だ。レコードで持っていたい一枚。

 

HARDFLOOR 『TB Resuscitation』 Harthouse/Moonshine(1993)

ドイツのテクノデュオによる最初の作品。贅肉が削ぎ落とされ、無駄がなく機械的なジャーマンテクノらしいサウンドで、めくるめくアシッドハウスやストイックなハードトランスがひたすら展開されていくトリップアルバムだ。代表曲“Acperience”こと“Acperience 1”を収録。

 

JAMIROQUAI 『Emergency On Planet Earth』 S2(1993)

誰もが知るアシッドジャズのプリンス、ジェイ・ケイ率いるバンドのデビュー作で、全英1位に輝いた。敬愛するスティーヴィー・ワンダーなどからそのまま受け継いだソウル/ファンクやフュージョンをアップテンポで英国的なダンスミュージックへと軽やかに磨き上げており、ジャミロクワイの音楽、あるいはアシッドジャズの完成形が早くも提示されている。冒頭のシングル2曲“When You Gonna Learn?”“Too Young To Die”がすべてを物語る。