Page 3 / 4 1ページ目から読む

カシオペアらフュージョン人気の再燃

――一方で、よりクラブ的な視点というか、イタリアのカメラ・ソウル等、アシッドジャズ〜クラブジャズ的な下地を感じさせるアーティストも収録されているのが面白いなと思いました。

「タイトルで〈AOR〉とは銘打ってますけど、実際にはそれにとどまらない周辺ジャンルのアーティストもいくつか収録しています。それこそ、ヨーロッパにはジャズの伝統が根づいているし、フュージョンやジャズファンクもすごく人気が高いので」

CAMERA SOUL 『Summer Memories』 Playaudio/Pヴァイン(2024)

――レアグルーヴ以降の感覚からすると、フュージョンってともするとちょっとダサいと思われがちだったと思うんですけど、イギリスのジャズダンスを起点に、海外のクラブシーンでは連綿と受け継がれているんですよね。

「そうそう。北欧のミュージシャンとやりとりしていて気づくのは、日本のカシオペアの人気が圧倒的に高いっていうことなんですよ」

――80年代当時に行ったヨーロッパツアーも盛況だったらしいですよね。

「そうなんですよ。日本のファンにはあまり知られていないかもしれないけど。面白いのは、年齢的にカシオペアをリアルタイムで聴いていたというわけじゃなくて、家にある親のレコードを通じてハマったっていうパターンが多いみたいですね」

カシオペア 『CASIOPEA』 アルファ(1979)

カシオペア 『MINT JAMS』 アルファ(1982)

 

AIが代われない臨場感や表現力

――そういう新世代ならではの、オリジナル世代と異なる魅力があるとすれば何でしょう?

「単純に音作りが上手くなっているっていうのは確かだと思います。例えばニュアンスに富んだソロ演奏みたいなものは昔の人の方が優れていたと思うんですよ。けど、アンサンブルの組み立て方とか入念さっていうのは、今の方が向上しているんじゃないでしょうか。

それはもちろん、機材の進歩っていうところが大きいし、宅録だとしても作り込める環境が当たり前になったっていう背景がありますよね」

――今回のコンピにも、大々的に打ち込みを使った曲がいくつか入っていますよね。

「はい。僕がいろんなところで言っているのは、打ち込みで宅録しているとしても、それが音楽的な必然性に基づいたものなら全く問題ないっていうことなんです。僕の世代だと打ち込みに反射的な拒否反応を示す人も多いけど、実際には、その音がただの代替品じゃなくて、音楽的に面白い効果を挙げていればいいわけですから」

――その一方で、人の手を介した演奏ならではの迫力をいかに表現するかという意識も各トラックから強く感じます。

「やっぱり人が演奏していることによる臨場感、身体や心と連動した表現力っていうのは、AIには代われない領域だと思うんです。もちろん、真似ならできる。けれど、いかに創造力を駆使しながら〈表現〉を行うかとなると、話は別ですよね」