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メタルの様式 × 90年代J-POPの影響

――『TRINITY』の後には、『&』というアコースティックアレンジを基盤としたセルフカバーアルバムもありましたが、ディスク2の冒頭にある“Epitaph”はこの時点での新曲(2022年9月配信)で、これが先駆けて初披露された機会でもありました。

TORU「アルバムとしては『&』がその時点での最新作にはなってたんですけれども、逆張りというのか、アコースティックに対して、思いっきり強めの曲を出したいなって思って作ったのが“Epitaph”なんですね。やっぱり『TRINITY』の流れを組んでいるというか、あれで自分が楽しくなってしまったというか(笑)、こういう感じの曲を振り切ってやりたいなという想いもあったんですね。ある種、わかりやすい曲ですしね」

――わかりやすいとは、どんな観点なのでしょう?

TORU「クラシカルなツーバスのメタルって感じですかね。

いわゆる90年代のJ-POP/J-ROCKの影響は全員にあるんです。ただ、作っている自分たちとしては、最初はそんなことは気にしていなかったんですよ。でも、周りから言われるようになって、〈あぁ、そうなんだ〉と思うようになって。

バンドを始めた当初は、いかに洋楽みたいにするか、日本っぽさを出さないか、海外のバンドみたいになることが正しいことだ、目指すべきことだといった考えがあったんです。でも、自分たちが影響を受けてきたアーティストがすごく好きなのに、その気持ちを押し殺してそうじゃないものを作るって、逆に不自然だよなって、ある時点から思ったんですね。

僕たちの曲は、形式的にはメタルの構成にはなっていると思うんですけど、メロディやコード進行に関しては、完全に日本のバンドの影響があると思うんですよ。自分が勉強したり研究したのはそういう部分ですし、そんな要素が上手く組み込まれているんじゃないかなとは思います」

HAYATO「たとえば、1stアルバムの“Own Crime”のようにクラシカルで速くてカッコいい曲が最近はないなとも思ってたので、“Epitaph”を聴いたときは、〈待ってたよ!〉〈そうそう、これだよ!〉って感じでしたね(笑)。クラシックの曲をモチーフにした仕掛けがあったり、面白い曲を作ってくれたなって」

HARUKA「“Epitaph”を作ったときに、TORUさんは〈サポートドラムのMAKIくんありき〉と言っていたんですね。彼なら叩けるから、という感じで」

TORU「まさに今、それを言おうかなとか思ってた(笑)」

HARUKA「制限なく、ああいう速い曲を作れる……そこでTORUさんが生き生きしているのは、作るのを見ていて感じてました(笑)。やりたいことができているんだなって。形になって良かったなと思います」

――MAKIくんの話が出ましたので触れますが、ドラムは凄まじい音をしていますよね。

TORU「『TRINITY』の配信ライブで初めて一緒に音を出したときもそうですし、ワンマンに向けたリハーサルでもそうだったんですけど、彼の存在は大きいですね。

アルバムのレコーディングではYU-TOが演奏してますけど、それをMAKIくんが自分なりに叩いてくれて、彼がどんなドラマーなのか、このバンドの曲をどうプレイするか、改めてよくわかったんですよね。だから、“Epitaph”はMAKIくんのスタイルをわかった上で初めて作曲した曲でしたけど、それが良い方向に働いてると思いますね」

――この日、『TRINITY』からは“after song”だけ演奏されてないんですよね。これは単純に機材面などの事情なんですか?

TORU「どうだったかな? 確か久しぶりのライブなので、バンドセットでいくことにこだわってたような気がします。

その後に時期が離れて名古屋と大阪でワンマンをやったんですけど、さすがにゲストボーカル2人を1曲のために連れて行くのは難しかったので、そのぶん、他の曲を演奏することにしようと、そのときには“after song”もやりましたね」

 

ライブならではのハプニングをあえて残した理由

――もう一方のCLUB CITTA’公演は、共に結成15周年を迎えたAldiousとの競演イベントでしたが、セットリスト的にも自分たちの歴史を概観するというコンセプトだったわけですよね?

TORU「そうですね。全てのアルバムで僕とHAYATOの曲が入っているので、1枚につきそれぞれの曲を1曲ずつチョイスしていって、そこでアルバム4枚からの8曲が決まり、アルバムに入っていない“Astrea”と“Epitaph”を選んで。

それに加えて“Nonsite”をこの日の最後にやったのは、あえてという感じですね。1曲目にやることが多かった曲ですけど、その時点での最新をその日の最後にやりたかったんです」

――そこにバンドの意志を感じますよね。

HARUKA「各アルバムから2曲をっていうのは、決まる前からなんとなくTORUさんに聞いていたと思うんです。ただ、〈これ、やったほうがいいんじゃないかな?〉っていう曲が、私的には入っていなかったんですけど(笑)、すごく意外な選曲ではありました。

でも、アイディア自体はとても良いと思いましたね。次にもしこういう機会があって、私が選んだりするとまた面白いのかもしれません」

――それは企画の一つとして面白いですよね。選ぶ人によって変化が出てくるでしょうから。

HAYATO「あの日はツーマンだったので、MCの時間が少ないなっていうのはありましたね」

――HAYATOくんにとってはMCタイムも重要ですからね(笑)。

HAYATO「ワンマンだったら好き放題とまでは言えないですけど、時間が押しても何とかなるじゃないですか。ただ、あのときは出番も先でしたしね。〈とにかく時間がない!〉ってMCでも言っていた記憶があるんですけど(笑)。

あとは“Epitaph”で火がバーンと出る仕掛けが楽しかったです(笑)。その場面も映像にはガッツリ入っていますので、ぜひご覧になっていただければと」

HARUKA「リハーサルのときに火のあるところに近づいていって、〈あち~!〉みたいなのをしていい?って聞いたら、TORUさんに〈やめろ〉と却下されました(笑)」

HAYATO「〈あち~!〉じゃ済まないからな(笑)」

――そんなハプニングがなくてよかったです(笑)。音源にも記録されているのであえて突っ込みますが、“always”ではすごい瞬間を残しましたね、HARUKAさん。

HARUKA「やらかしました(笑)。完全なる素です。なぜかあのときだけ……最初に(歌詞が)出てこないと、ずっと出てこないんですね(笑)。歌い慣れているというか、リハーサルでも絶対に歌えなかったことがないようなところだったので、自分でもびっくりしています(笑)。でも、ライブならではっていうことで、そのままノーカットで残っているということです(笑)」

――これまで様々なライブ映像なりライブ音源なりに触れてきましたが、公式作品としては初めての体験だったかもしれません(笑)。

TORU「でも、カットするかどうか迷いました。たとえば、音声だけを切ることもできたんですね。その瞬間の映像ではHARUKAを映さないようにするとか。さもなければ、丸ごとカットか、全部残すか。この3パターンが考えられたんですけど、MCも含めてノーカットなんだから、これもノーカットだろうと(笑)。

それにこの日は歓声が入っていて、HARUKAの間違いに対して煽るというか、お客さんもそれを楽しんでいるようなリアクションが聞こえたんですね。こういうのもライブならではですからね。普通はなるべくカッコいいとこだけを残す方向にすると思うんですけど、これはこの形でいいんじゃないかなと思いました」

――結果的にすごく面白かったです(笑)。