レッド・ホット・チリ・ペッパーズが、2024年5月18日と20日に東京ドームにて来日公演を開催した。前回の来日からわずか1年弱という短いスパンで再び日本の地に帰ってきた4人。彼らが披露したベストヒット満載のスペシャルライブより、5月20日の公演のオフィシャルレポートが到着した。 *Mikiki編集部


 

いきなりお祭り騒ぎと化した東京ドーム

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの〈The Unlimited Love Tour〉が東京ドームにて5月18日、20日に開催。彼らは昨年2月にも来日しており、1年ちょっとのスパンで再び単独公演が決まった。今回は東京公演のみ、〈ベストヒット満載のスペシャルライブ〉と銘打たれ、18日はソールド、20日もドーム天井まで隙間なく観客で埋め尽くされている。改めて、レッチリの絶大なる人気の高さを思い知った。ここでは20日公演の模様をレポートしたい。

開演19時ほぼジャストに暗転するや、堰を切ったように歓声はどよめき、ジョン・フルシアンテ(ギター)、フリー(ベース)、チャド・スミス(ドラムス)の3人による恒例のジャムでスタート。お互いの息遣いを探りつつ、徐々に呼吸を合わせ、演奏は加速度をグングンと上げていく。単なる準備体操ではない、これも一つのショウだと認識させる緊張感が迸る。そんな圧巻の助走を経て、1曲目は“Around The World”で始まった。アンソニー・キーディス(ボーカル)がステージ中央に駆け寄って歌い上げた瞬間、女性の黄色い声を含めて歓声はひときわ大きくなり、穏やかな声色にバチバチのアンサンブルが重なると、耳馴染みの深い楽曲に会場はお祭り騒ぎと化した。

“Dani California”に入ると、ポップな歌メロに誘発されて観客は手を上げてシンガロングする。もはや〈みんなのうた〉状態である。「アイ・ラブ・ユー、ジャパン!」とフリーが挨拶代わりに叫ぶと、次は“The Zephyr Song”を披露。アンソニーの歌声とジョンのコーラスは相性バッチリで、メロウネスを一段と深めていく。もちろんジョンの枯れたギターは泣きまくり、楽曲の情感を高めていった。

“Here Ever After”ではアンソニーがマイクを両手でしっかり握り締めたまま、ラップとメロディを巧みに切り替え、川の流れのように淀みなく聴かせる。それから映画「デスノート the Last name」主題歌“Snow (Hey Oh)”へ。イントロから熱い歓声が沸き、「ウォー!ウォー!」の大合唱へと観客を導く。派手さはないが、それを補って余りある滋味豊かな王道ロックに酔いしれてしまう。甘美な歌メロに心を奪われながら、後半は楽器陣3人の鉄壁のアンサンブルで観客を昇天させた。

“Eddie”ではジョンの桃源郷的なギターサウンドがドームを包み、それをフリーとチャドのリズム隊が強固に支える。この曲におけるインストパートは人間味溢れるグルーヴに溢れ、生々しい衝動を吐き出していた。心の中で〈素晴らしい!〉と連呼する自分がいた。中盤に“Hard To Concentrate”、“I Like Dirt”と挟み、“Parallel Universe”に移ると、フリーの饒舌なベースフレーズにも聴き惚れるばかりだ。

“Reach Out”を経て、アンソニーが上半身裸になると、“Suck My Kiss”を解き放つ。弾力性に富むファンクネスに観客も熱狂し、頭をカラッポにして身を委ねたくなるかっこ良さ。ショウも後半に差し掛かると、鍵盤奏者入りで“Californication”が披露され、ジョンのコーラスはここでも冴え渡る。本編は残すところ2曲となり、“Back Summer”からの“By The Way”でドームを狂喜の宴に様変わりさせた。

 

レッチリのショウはあらゆる世代を歓喜に導く

メンバー4人がステージから捌けると、スクリーンは会場に集まった観客を映し出す。〈(アンソニーと)SAME TATOO〉と書かれた紙と共に右腕を突き出す男性、〈FROM AUSTRALIA〉のフラッグを掲げた外国人客、また、〈レッチリさいこー〉と日本語のプラカードを上げる人もいて、愛情表現も人それぞれ。しかし、〈老若男女〉という言葉がピッタリ当てはまるほど年齢層は幅広く、誰もが一様に熱狂的なのだ。そのムードこそが、レッチリ=メインストリームのロックバンドであることを物語っていた。

そして、アンコール一発目はジョンがアルペジオを爪弾き、バンド初のヒット曲となった“Under The Bridge”へ。すると、ドームは携帯の光に包まれ、静謐なバラードに大勢の人が心酔。トドメは“Give It Away”で再びお祭り騒ぎとなり、1時間40分に及ぶショウは幕を閉じた。ファンク色の強いミクスチャーから静かなバラード、さらにど真ん中の王道ロックまで、ファンが聴きたい曲を惜しげもなくやり尽くしたレッチリ。初日の18日公演と比べて、10曲(!)もセットリストを替えたが、〈ベストヒット満載〉の看板に嘘偽りない濃厚な選曲だった。何より観客はアッパーだろうと、メロウな曲だろうと、微塵もテンションは落ちることなく、曲が始まるたびに凄まじいリアクションが起きていた。ジョン以外のメンバー3人は還暦を超えた年齢にもかかわらず、パフォーマンス面においてはロックスター然とした輝きをずっと放ち続けていたことも驚嘆に値する。キッズから年配の方まで全世代を歓喜に導くレッチリは、今がバンド史上最強ではないかと思いたくなる。いくら絶賛しても足りないほど素晴らしいショウであった。

 


SETLIST
2024年5月20日@東京ドーム
1. Around The World
2. Dani California
3. The Zephyr Song
4. Here Ever After
5. Snow (Hey Oh)
6. Eddie
7. Hard To Concentrate
8. I Like Dirt
9. Parallel Universe
10. Reach Out
11. Suck My Kiss
12. Californication
13. Back Summer
14. By The Way

ENCORE
15. Under The Bridge
16. Give It Away

来日公演のセットリストのプレイリスト公開中
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWZ0Q1FugME1J