ベッドルーム・ポップ然としたロスタム制作の初作、ジャック・アントノフと組んでサッドな風情を纏った2作目……とアルバムを通じて多面的な表情を見せてきたクレイロの3作目は、70年代の女性シンガー・ソングライター作品やソフト・ロックを想起させる凛とした親しみやすさを備えた聴き心地にまたまた変化。プロデュースにあたったのは適任としか言いようのないリオン・マイケルズで、ビッグ・クラウン産のヴィンテージなあれこれやノラ・ジョーンズ『Visions』を思わせるスタイルで主役の微熱と愁いを引き出している。ローラ・ニーロを思わせる瞬間もあり、まさにこのジャケの表情から連想できる内容かも。