宅撮り音源をオンラインにアップし、ベッドルーム・ポップの先駆けのSSWとして名を馳せたClairoが待望の2ndアルバム『Sling』をリリース。今作はTaylor SwiftなどをプロデュースするJack Antonoffとタッグを組み、内省的な前作よりもピアノ、ストリングス等全ての音色がフォーキーでノスタルジックな印象を持った。その背景には彼女が世間に知られるようになった過程で感じた、不安や孤独の感情を受け入れた変化があるからだろう。若さ故の脆さにも打ちひしがれることなく、今作を作り上げた彼女は紛れもない〈表現者〉となったことを証明している。彼女のキャリアにおいて重要な役割を持つアルバムだ。

 


前作のロスタム・バトマングリ(元ヴァンパイア・ウィークエンド)からバトンタッチ、テイラー・スウィフトやラナ・デル・レイからセイント・ヴィンセントまでを手掛けるジャック・アントノフが共作・共同プロデュースにあたったセカンド・アルバム。とはいえローファイ・ベッドルーム・ポップらしい素朴で牧歌的な味わいは変わらず。オルタナ色は後退したものの、今回際立っているのがフォーク色で、キャロル・キングやジョニ・ミッチェルなど70年代のフォーク全盛期を思わせるセピア色サウンドが、Z世代の23歳によって奏でられる。レトロな多重録音ヴォーカル、ピアノやサックス、フルート、弦楽器演奏など、どこをとっても懐かしくて新鮮そのもの。シングル“Blouse”にはロードがバック・ヴォーカルで参加している。