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バンドを絶対に手放したくない

 このたび行われた『NOW I SEE THE LIGHT』のアナログ盤化だけでなく、来年には過去の3作のアルバムもすべて国内プレスされたLPでのリイシューが予定されており、25周年を記念した初の全国ツアーの構想もあるそうだ。「25年やってて、ちゃんとした全国ツアーをやったことないバンドってヤバいでしょ」と言って山㟢は笑った。toeの活動スタイルは、メンバー4人がそれぞれ別の仕事を持っているがゆえ、趣味の拡大のようにバンドを続けてきたのではないかと、傍目には誤解されることもある。しかし、実際にこのバンドが宿しているのは、そんな余裕めいた人生とは無縁の、創造のマグマだ。

 「曲を作ってる段階ではライヴのことはあんまり頭にないんです。スタジオでも別録りですし。だけど、ライヴのときに4人で演奏してみると思ってもみなかったところで盛り上がったり、アイデアが生まれてきたりする」(山㟢)。

 「音源を作ってるときは、曲のことをそこまでわかってないんですよ。自分でミックスしてようやく、なるほどね、みたいにだんだん理解していく。そして、ライヴで懸命に演奏しているうちに、急に自分の曲だと感じる瞬間が来て、うおー!ってなる(笑)。僕のなかではそこで曲が完結する感じなんです」(美濃隆章、ギター)。

 「結局、自分が好きだと感じること、得意だと思ってるのがバンドしかないから、それにずーっとしがみついてるだけなんです。若いときにバンドをやってても齢を重ねていくと大多数の人が辞めちゃうじゃないですか。もったいねー!って思うんですよ。せっかくこんな楽しいことをやってるのに。しかも、人を見ていたらわかるように、一回手放しちゃうと元に戻すのは大変。僕はどうにかしてバンドをやりたかったし、いまでもずっと続けたい。これしか自分が納得できるものがないから、必死でバンドというものにしがみつき続けているんです」(山㟢)。

 生まれた場所(音源)とその後(ライヴ)の両方にミラクルがある。だからtoeは辞められないのだろう。

 「いまは、アルバムという大きなウンコを出してスッキリしてるところなので、ここからまた変わっていくからそれでいいんじゃない、という感じです。次のアルバムまで、また9年? その可能性は大いにありますよ。もう歳なので、時間が過ぎるのが早いんです。9年ということは、いまの僕の体感時間では3年くらいでやんなきゃいけない(笑)」(山㟢)。

『NOW I SEE THE LIGHT』にヴォーカルで参加した児玉奈央の2020年作『Revelation』(LUNCH TIME RECORD)