ワーナーミュージックの洋楽名盤シリーズ〈FOREVER YOUNG〉のリイシュー作品を紹介する連載! 今回はハード&ヘヴィーな英米レジェンドの18枚!
洋楽名盤をリイシューするワーナーミュージック発の〈フォーエヴァー・ヤング〉シリーズからタイムレスな定番タイトルを紹介していく連載です。今回は3月4日に登場する第12弾より、70年代UKハード・ロックの最高峰ディープ・パープルとUSハード・ロックの最高峰ヴァン・ヘイレンという、以降のハード&ヘヴィー系の源流となったレジェンドたちの合計18タイトルがラインナップされています。
まずは、4月に来日公演を控える英国ハード・ロックの大御所バンド、ディープ・パープルです。68年にジョン・ロード(キーボード)、リッチー・ブラックモア(ギター)、イアン・ペイス(ドラムス)らが集まってハートフォードで結成。アルバム2枚を出した後の69年にメンバーを交代し、イアン・ギラン(ヴォーカル)とロジャー・グローヴァー(ベース)が加入した〈第2期〉の5人編成で世界的にブレイクを果たしました。黄金時代と呼ばれたこの時期には商業的にも批評的にも高く評価され、その後のヘヴィー・メタル隆盛に繋がる様式を確立していくなか、73年にギランとグローヴァーが脱退。代わってデヴィッド・カヴァデール(ヴォーカル)とグレン・ヒューズ(ベース)を迎えた〈第3期〉でも成功を継続しますが、75年には看板ギタリストのブラックモアが脱退。代わりにトミー・ボーリン(ギター)を迎えた〈第4期〉も1年で終わり、バンドは解散することになりました。その後の84年に〈第2期〉の5名が結集して再始動。以降もメンバー交代を繰り返しつつ、現在はペイスとギラン、グローヴァーを中心に活動中です。今回は勢いに溢れた第2〜4期のアルバム8枚がラインナップされています。
一方のヴァン・ヘイレンは、72年に米カリフォルニア州パサデナで結成されたハード・ロック/ヘヴィー・メタル・バンド。エディ・ヴァン・ヘイレン(ギター)とアレックス・ヴァン・ヘイレン(ドラムス)の兄弟を中心に、デヴィッド・リー・ロス(ヴォーカル)とマイケル・アンソニー(ベース)を加えた4人組で78年にデビュー。デヴィッドの華やかなパフォーマンスとエディの超絶テクニックで評判を集め、80年代に突入すると同時に大ブレイクを果たします。絶頂期の85年にデヴィッドは脱退しますが、2代目シンガーにサミー・ヘイガーを迎えた時代にバンドの人気は不動のものになりました。今回はそのデヴィッド・リー・ロスがヴォーカルを務めた時期の名盤6タイトルに加えて、脱退後の彼がスティーヴ・ヴァイ(ギター)やビリー・シーン(ベース)らと作り上げたソロ・アルバム4作品もラインナップされています。それぞれの時代を彩った忘れ難い名盤たちを改めて紹介していきましょう!

通算4作目にしてバンドの黄金期と呼ばれる〈第2期〉の5人体制で臨んだ初めてのアルバム。レッド・ツェッペリンに触発されてハード・ロックに比重を傾け、圧倒的なドライヴ感で迫るオープニングの“Speed King”からラストの“Hard Lovin’ Man”まで、リッチー・ブラックモアのギターとイアン・ギランのヴォーカルが火花を散らす。ジョン・ロードの鍵盤が牽引する独特の風情もこの時期には顕著で、前体制のプログレ感を残した10分超の“Child In Time”も彼らならではの名曲だ。全英4位を記録。

ダイナミックな疾走感を纏って我流のハード・ロックを手繰り寄せ、初めて全英チャートで首位を記録した大ヒット・アルバム。後のスピード・メタルやスラッシュの原点のような“Fireball”で荒々しくスリリングに幕を開け、ブルージーなヒット・シングル“Strange Kind Of Woman”ではキャッチーで明快なリフの即効性が光る。スケール感の大きい“The Mule”や組曲テイストのプログレッシヴな長尺ナンバー“Fools”などイメージ以上に多彩な要素が雑多に混在していて飽きさせない。

曲名通りの爆走感を伴って駆け抜けていくオープニングの“Highway Star”を筆頭に、冒頭から轟くギター・リフがあまりにも有名な“Smoke On The Water”といったスタンダード感のある名曲を含み、これ以降のジャンル像の確立にも貢献した最高傑作。全英1位/全米7位を記録して商業的にも最大の成功を収めている。緩急のある展開とメロディーが美しい“Never Before”、派手なスティック捌きが導く勇壮な“Pictures Of Home”やジャジーなインストの“Lazy”まで曲調も多彩だ。

『Machine Head』がヒットする最中の72年8月に行われた初来日ツアー、その模様を収めたLP 2枚組の実況盤にして、ロック史上に残るライヴ・アルバムという呼び声も高い傑作。“Highway Star”や“Strange Kind Of Woman”など当時の最新セットが大阪フェスティバルホールと日本武道館での計3公演から厳選されている。当初は日本だけで出る予定だったものが海外でも『Made In Japan』のタイトルでリリースされ、翌73年に全米6位のヒットを記録した。

通算7作目にして第2期ラインナップでの最後を飾った一枚。過酷なツアーでの疲弊や人間関係の悪化がレコーディングにも直接的に作用し、全体的にブラックモアのギターが後退。その代わりにジョンのシンセサイザーが際立った個性を発揮してまた異なるバランスを生み出している。日本ツアーから着想を得たハード・ロック“Woman From Tokyo”がキャッチーな代表曲となり、全英4位/全米15位のヒットを記録するが、本作のツアーをもってギランとロジャー・グローヴァー(ベース)は脱退。

デヴィッド・カヴァデール(ヴォーカル)とグレン・ヒューズ(ベース/ヴォーカル)を迎えた〈第3期〉での初のアルバム。“Highway Star”に代わる駆動輪となった鮮やかな“Burn”がある一方、“Might Just Take Your Life”などでは新メンバーのフィーリングとバンドのルーツ志向が結びついてブルースやファンクの要素が濃くなり、スティーヴィー・ワンダーを意識したという“Sail Away”もある。ツイン・ヴォーカルが映えた“You Fool No One”も新鮮で、全英3位/全米9位に復権している。

結果的には〈第3期〉の最後のアルバムとなった通算9作目。成功した『Burn』の路線をベースに、カヴァデール&ヒューズのソウル〜ファンクな持ち味がより前面に出てきた意欲的な内容で、ほぼ全曲のリード歌唱を彼ら二人が担当する形式となっている。タイトル曲や“Lady Double Dealer”においてはこの体制ならではの独自性が他の時期と異なる輝きを発しているのも確かで、全英6位を記録。一方で作風の変化に不満を抱いたブラックモアは脱退を選び、翌年にレインボーを結成することになる。

ブラックモアの後任として、初のアメリカ人メンバーとなるジャズ/フュージョン畑のトミー・ボーリンを迎えた〈第4期〉での唯一のアルバム。前作からの揺り戻しもありつつ、曲作りの要が変わったことで従来のパープル像とはまるで違ったリズミックなハード・ロックが展開されている。否定的に捉えられることの多い作品ながら、ボーリンとヒューズ作のファンク“Gettin’ Tighter”などは単純に興味深い。全英19位を記録するも、翌年3月にバンドは解散。カヴァデールはホワイトスネイク結成へ向かう。

〈炎の導火線〉との邦題が付けられたファースト・アルバム。バンドを契約に導いたテッド・テンプルマンがプロデュースにあたり、数曲でオーヴァーダブを加えつつ基本はスタジオ・ライヴの形式で録音されたそうで、当時のフレッシュな勢いが刻まれている。キンクスのカヴァーとなるデビュー・シングル“You Really Got Me”、初期の代表曲“Runnin’ With The Devil”、ギタリストのエディが鮮烈なソロを披露した“Eruption”などが収録。全米19位を記録し、その年のうちに来日公演も開催された。

早くもTOP10入りとなる全米6位を記録したセカンド・アルバムで、邦題は〈伝説の爆撃機〉。攻撃性と親しみやすさの両面で音楽性を拡張し、リンダ・ロンシュタットで知られる“You’re No Good”のカヴァーやファンク調のリズム・ワークが光る“Outta Love Again”、エディのガット・ギターによるインスト“Spanish Fly”、デビュー前からのレパートリーだった“Beautiful Girls”など中身も多彩。なかでも爽快なポップネスを備えた“Dance The Night Away”は全米15位のシングル・ヒットに。

邦題は〈暗黒の掟〉。引き続きテッド・テンプルマンがプロデュースし、初めて全曲をバンドのオリジナルのみで固めた3作目。冒頭の“And The Cradle Will Rock...”ではエディがウーリッツァーを弾き、“Could This Be Magic?”ではニコレット・ラーソンの女声をバックにフィーチャーするなど、新しい試みも意欲的に交えてアレンジ面は大きく進化しているが、オーヴァーダブも駆使した全体的な聴き心地はよりハード&ヘヴィーな重厚感を増して響いてくる。前作同様に全米6位を記録。

邦題は〈戒厳令〉。テクニカルなギター・プレイのイントロで始まる“Mean Street”を筆頭にデヴィッド・リー・ロスの野生的な存在感が弾け、シンガロング系の“Hear About It Later”やエッジーな“Unchained”、ブルージーな“Push Comes To Shove”などでハード・ロックの骨太な幅を聴かせる4作目。終盤のインスト“Sunday Afternoon In The Park”ではエディが不穏な音色のシンセ演奏を披露。総じて前後の作品ほどの派手さはないものの、アルバムは全米5位まで上昇した。

ロイ・オービソン“(Oh) Pretty Woman”のカヴァー・シングルが全米12位のヒットとなった好況を受け、レーベルの要請で急造した5作目。2週間足らずで完成する必要に迫られたためにカヴァーが中心となり、合間にインストの小品が挿まれる構成だが、マーサ&ザ・ヴァンデラス“Dancing In The Street”など原曲のポジティヴさも相まってデイヴの華やかさは通常時よりも際立つ。スタンダード“Big Bad Bill”にはヴァン・ヘイレン兄弟の父ヤンがクラリネットで参加。結果的に全米3位を獲得した。

アンセミックなシンセが牽引するシングル“Jump”がキャリア初の全米No.1に輝き、さまざまな音楽的チャレンジがゴージャスな形で結実した到達点。マイケル・マクドナルドが共作したシンセ・ポップの“I’ll Wait”、直球のグラム・メタル“Panama”や“Hot For Teacher”も次々にシングル・ヒットを記録したほか、畳み掛けるような“Girl Gone Bad”などキャッチーな側面を素直に引き出すような楽曲が並ぶ。アルバムも全米2位を記録するものの、本作を最後にデイヴはバンドを離脱することに。

まだバンドに在籍していた頃のソロ・デビューEP『Crazy From The Heat』(85年)を経て届けた〈ダイヤモンド・デイヴ〉のファースト・アルバム。テッド・テンプルマンがプロデュースを継続し、スティーヴ・ヴァイ(ギター)、ビリー・シーン(ベース)、グレッグ・ビソネット(ドラムス)という技巧派メンバーを従えて自身の野生味を解放している。シングル・ヒットした“Yankee Rose”のようなグラム・メタルを軸にシナトラのカヴァー“That’s Life”というエンタメ路線も披露。全米4位の成功を収めた。

バンドに新加入したブレット・タグル(キーボード)の活躍もあって煌びやかな80年代モードで全体が統一されたようなセカンド・アルバム。ブレットとは全米6位まで上昇した超メロディアスな“Just Like Paradise”など甘口のポップ・チューンを共作。グレッグと共作したシンセ・ポップの冒頭曲“Knucklebones”やスティーヴとの豪勢なロック・ナンバーも含め、ヴァン・ヘイレン時代とは似て非なる大袈裟な華やかさが愛されて全米6位を記録した。コンテンポラリーな“Damn Good”も聴きもの。

新進気鋭のジェイソン・ベッカー(ギター)らをバンドに迎え、新たにボブ・ロックをプロデューサーに迎えて制作した3作目。グランジ/オルタナ勢が旋風を巻き起こしつつあった本国においては〈ロックンロール・ジゴロ〉なキャラやグラム・メタルな音作りは時代遅れに受け止められたはずだが、UKでは過去最高のチャート4位を記録するなど海外ではヒット。時流を切り離して聴けば、ロビー・ネヴィルと共作した表題曲など、重厚なグルーヴで豪勢なロックを響かせた好内容なのは間違いない。

なんとナイル・ロジャースをプロデューサーに迎えて、ロックやファンクのみならず、アーバン・コンテンポラリーやレゲエ、ジャズ、カントリーなど多彩なスタイルを意欲的に着こなした4作目。商業的には最低調だった時期ながら、当時のオルタナ的な流行にもハード・ロック路線の再来を望む声にも背を向けたような冒険心が却って痛快だ。ギタリストのテリー・キルゴアと大半を共作し、振り幅の広いエンターテイナーぶりが逞しい。この後の96年にはヴァン・ヘイレンとまさかの合流を果たすことに。