〈バズる曲〉を要請されてレーベル移籍を選んだのも彼女らしいが、作風がまた変わったのも彼女らしいと思える5作目。ジャケを見て冒頭曲が流れはじめたらいきなりボウイかと思ってしまったが、表題で〈モノマネ役者〉を謳う通り、〈その時代に生きていた自分〉を各時代のアーティストの模倣的な楽曲に投影して聴かせたコンセプト作品。それゆえに曲調の多彩さも楽しめるし、そもそもリファレンスを示しながら世に出る作品が多い昨今、あえてのモノマネ宣言は批評的と言えるのかもしれない。ブリトニー使いの“Lucky”などミレニアム前後の情緒に寄せた姿はとりわけ新鮮で、振り幅の広さが頼もしく響く力作。