
ジャンルや国境を越えた軽やかな制作
――今回コラボレーションの曲がたくさん並んでいますが、これは最初からそうしようと思っていたんですか?
荒田「コラボレーションは元々好きなんです。発見というか、驚きがあるじゃないですか。4人で作るものとは別の色をいきなりぶち込まれる感じがすごく好きなので」
長塚「昔からWONKは〈ハブになりたい〉と言っているんです。音楽でも他のいろんなカルチャーでも」

荒田「例えば今作に参加しているBilalのことも、僕らのリスナーの中には知らない人もいるかも知れない。僕らがカッコいいと思っているミュージシャンのことを、我々を通して知ってくれる人がいたら嬉しいなっていう気持ちもあるんです。
なので、今回のアルバムは最初からこの人数でやりたかったわけではなくて、アルバムを作る中で〈この曲はコラボしたい〉〈これは我々だけで完結させよう〉となっていき、気づいたらこんな風になってた感じですね」
――コラボの曲はそれぞれゲストを意識して曲を作っているんですか?
荒田「曲によりますね。Bilalが歌ってくれた“Miracle Mantra”はまさにコラボが決まってから彼の歌うキーや雰囲気を考えて曲を作っていますし、“Skyward”は最初にデモがあって、それにハマる人を探してBewhYに歌ってもらいました」
――Kieferとは一緒にスタジオライブをしている映像もありました。
長塚「Kieferは僕と同い年で、メンバーとも仲良くなりました。この間来日していた時も会いに行ったし、最近も台湾のElephant Gym、シンガポールのCharlie Limとかとは、全然音楽と関係の無いところで出会ってご飯を食べたりしたんです。そういう繋がりができていくとすごく嬉しいし、ワクワクしますよね」
荒田「視野が広がって楽しいですよね。Slum VillageのT3も、仲良くさせていただいているカメラマンの方が、昔からJ Dillaとかを撮影されている方で、その方に紹介していただきました。そういうことってあるんだなって思いますよね」
長塚「音楽を作る時に、例えば〈石若駿にこの曲を叩いて欲しい〉〈誰々に歌詞を書いて欲しい〉と思ったら、〈やってくれない?〉って電話してポンッとスタジオに来てもらって演奏してもらう、みたいな軽やかな制作現場が東京の我々のシーンにはあるなと思っていて。そういう動きによって我々の音楽は作られているんだなってすごく感じるんです。
そのことを仲の良いエンジニアさんと話していたら、〈ニューヨークでもそれと全く同じことが起きてるよ〉とおっしゃっていて。〈Glasperにピアノ弾いてもらおう〉〈Bilalにコーラスを入れてもらおう〉〈Yebbaに歌ってもらおう〉みたいなことって、ニューヨークでも全く同じだよっておっしゃっていたんです。そういう輪みたいなものが、国境を越えて広がっていくのは、すごく幸せなことだなって思いますね」
10周年でも変わらない実験的で挑戦的な進取のアイデンティティ
――WONKが10周年っていうのも 個人的には感慨があります。
荒田「びっくりですよね」
――10年前はバンドが10年続くと思っていましたか?
荒田「10年先のことなんて考えてなかったですね(笑)」
長塚「もちろん結成した瞬間は確信はなかったです。けれどバンドのあり方として、常に新しいものにしっかりと目を向けていって、いろんなことに実験的に挑戦していくっていうスタイルは、WONKのアイデンティティの1つとして貫いていると思っていて。だからこそ、時代が変わっていっても、その時々のトレンドや最新の技術も含めてどんどん吸収していけば、自分たちが面白いと思う、この時代にやっている意味がある音楽を常に作り続けられると思っています。だから、時代の変化によってWONKができなくなるイメージはあんまり無いですね」
荒田「(長塚に)でも10年続くと思ってました?」
長塚「逆に、自分たちがめちゃくちゃ大きくなって、例えばドームで演奏してるイメージは最初から湧いて無かったんです。だって、そこを目指して音楽を作ってないから」
荒田「ハハハ。そうだね」
長塚「だから長く活動できるだろうな、とは最初から思っていました。もちろん、これから先に休止期間みたいなものはあるかもしれないけど、誰かが死なない限りは続けたいですね。
自分たちはソロをやっていたり、作曲をしていたり、それぞれの活動が多くあるバンドだと思うんですけど、各自の学び取ったものを集約してぶつけ合って作っていくのがWONKのあり方だなって思うので」