ながらく廃盤でプレミア価格がついていたペドロ・コスタ監督の「コロッサル・ユース」が再発。代表作「ヴァンダの部屋」から6年がたち、再びリスボンのスラム街フォンタイーニャス地区を舞台に15ヵ月以上にわたって320時間分の映像を撮影し、スラム街に住む素人俳優たちに監督が思い描くセリフを語らせ、明暗法を使用した絵画的な映像美で人々を描く。登場する人々は本質的にそうなったのではなく、歴史や政治によって社会的に構築された人々だ。それを象徴するように、老齢の主人公ベントゥーラの言動はペシミズムに溢れている。本作は続編だが、本作から見ても十分に楽しめる。