
選曲、曲順、ライナーまでこだわり抜いた『ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ』
長門「パイドのコンピで最初にリリースしたのは2016年の『ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ』だけど、あれも大変でしたね」
関口「ベストとは銘打ってますが、レアコレクションのような中に過去音源のストレートリイシューも交じっているという形なので(笑)」
長門「曲順を考えるとき流れが良い感じにしたいんだけど、誰も知らないような曲ばかりが続いてもどうかなって。たまに有名な曲が挟まったほうがホッとするでしょうから」
北爪「1曲目はアルゾですね」
長門「やっぱり掴みは大切なので。そういうバランスはすごく考えてるんだけど、曲順を決めるのは自分が楽しいからやっているんですよね(笑)。でもそれを決めたあとに権利関係を確認しなきゃならない関口さんがやっぱり大変なんだけど(笑)」
北爪「このコンピの企画はどんな形で始まったのですか?」
関口「2016年にタワレコ渋谷店内でパイドが復活することになって、そのタイミングでベスト盤を出せたらいいですねという話をしたんですが、ただのベストじゃ面白くないよねと長門さんが仰って」
長門「それにしてもなんであんなに売れたんだろう(笑)?」
関口「僕は願望も込めて売れるんじゃないかなと思ってましたよ(笑)。満を持して〈ベスト〉と打ち出しましたし、パイド復活のタイミングにも合わせたし」
長門「24曲も入ってるのに2000円ちょっとですから。ソニーはすごく良心的なんですよ」
関口「でもこのコンピと続編の『ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ Vol.2』は本当に大変でした(笑)。コンピなので1曲ずつ許諾を得なければならないし、マスターも1曲ずつやらなきゃならない」
長門「『ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ』からケニー・ランキンのコンピまでの近年の再発は許諾を取る苦労もあったけど、完成したアルバムはアートワークも含めて完璧なものが出来たと思っています。すごく達成感があったし、よくやれたなと思いますよ」
関口「ライナーも気合が入ってますしね。あれだけの情報量を持った文章があれば購入者にとってはとても価値があるものになりますし。長門さんのコンピは音だけじゃなくて解説も素晴らしいですから」
長門「全く何の情報もない曲とかもあって。ネットに出ている情報は間違いも多いんだけど、それをそのまま引用しちゃうライターさんもいるんですよね。でも絶対に自分で調べないとダメです」
北爪「長門さんはそこを徹底していて、必ず一次情報まで当たりますよね」
長門「わからないことはアーティスト本人に確認するのが間違いないから(笑)。昔はそれが無理ならば本を買ったりビルボードの分厚いチャートを読んだりして。いまはインターネットを使ってアーティストや権利者と直接やり取りができる時代だから便利ですよね。でもそのわりには世界初CD化の商品があまりリリースされてないですけれど」
北爪「長門さんや関口さんのような情熱を持った人が少なくなったんですかね」
長門「それもあるかも知れないですね。昔は返事が来るかどうかもわからない手紙を送ったり、ジャケの裏に書いてある電話番号にダメ元で掛けてみたり、大変でした」
関口「当時はいいものをなんとかリリースしたい一心で粘り強く交渉してましたね」
長門「フィフス・アヴェニュー・バンドやジョン・サイモン、ハース・マルティネスなんかは再発も出して、さらに新譜も作ってしまおうというところまで持っていきましたからね。あの頃の自分はすごく行動力があったんだなって思う(笑)」
関口「いえいえ、長門さんはいまでもお元気ですから、これからもいろいろリリースしていきましよう」

