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少ない要素で大きな効果を得るサウンド

三船「もう一つアルバムの話を。クレジットを見ると、Grizzly BearのChris Taylorが今作には関わっています。確か彼は今、バルセロナに住んでいますね? あなたは実際、楽曲制作をご自身で完結される人だと思いますが、今回は他人に委ねることで何か新しい角度が欲しいと思ったのでしょうか?」

Hansen「そうですね。彼はバルセロナにいて、実は会ったことはないんです。今回、全て電話とメールでファイルをやりとりしました。

もともとGrizzly Bearのファンで、特にアルバム『Painted Ruins』のドラムの音が大好きでした。彼らの多くの作品はドラムに大きなリバーブがかかっていて、広い音像の印象があったんですが、あのアルバムはまた少し違う印象で、何か音がフォーカスされて研ぎ澄まされている感じがあったんです。

そのことを伝えながら、今回はそういうミニマムな音楽、少ない要素で大きな効果を得てみたいと思ったんです。とても良いコラボレーションができたと思っています」

三船「それは作品を聴いていて、とてもよくわかりますね」

 

Tychoの美しいシンセサウンドの秘密

三船「今度はシンセの話です。実は僕もシンセサイザーがとても好きで、KORG Mono/PolyやSequential Circuits ProphetやMoog Subsequent 37を持っています。

実はコロナ禍中にあなたのYouTubeチャンネルをよく見ており、丁寧に機材を解説してくれていて、それがすごく僕の創作の参考になりました。YouTuberとしてもファンです(笑)。あなたのバンドメイトとの会話を収録した〈Tycho Friendship Hour〉はとても面白いですね。

あなたはAccessのVirusというドイツのシンセを使っていますね。昨日はMinimoog Voyagerもステージにありました」

Hansen「そうですね。アメリカではライブでMinimoogを使っていますが、ツアーに持っていくことは難しいので、今回はVoyagerを使いました。安定していていいですね。

VirusはMIDIコントローラーとして使用していて、プラグインを制御しています。だから、実際に音が鳴っているわけではなくて、プラグインが鳴っています。あと、Universal AudioのReaperを使って、パッチを組んで切り替えています。多くのエフェクター機材を持っていくとものすごく大変なことになってしまうのですが、これによってたくさんのコントロールができるようになりました」

三船「なるほど、そういうことになってたんですね。ステージを見て不思議に思っていたんです。あなたが一つのスイッチを押すだけで突然リバーブが広がったり消えたりするから、どうやってやってるんだろうと」

Hansen「シンセサイザーの場合、オーディエンスは何を演奏しているのかよくわからないよね。ギターやドラムは実際に演奏が見えるけど、シンセだと全然わからないので、今はビデオカメラで演奏している映像をスクリーンで見えるようにしているのですが、それはそれで同じシンセから違う音が出たりしているので混乱しちゃうかな、とも思っています(笑)」