ジャズの現在進行形を切り拓く才媛からの最新レポート
ホセ・ジェイムズの『While You Were Sleeping』で3曲に参加したことから注目度が高まった、北カリフォルニア出身でブルックリン在住のシンガー・ソングライター/ギタリスト、ベッカ・スティーヴンス。これまで、グレッチェン・パーラト&レベッカ・マーティンとティレリーというグループを結成したり、エスペランサ・スポルディングやアンブローズ・アキンムシーレらの作品にも参加してきた彼女が、自身のバンドを従えてニュー・アルバム『Perfect Animal』を発表した。プロデュースはスコット・ソルター(スーパーチャンク、セイント・ヴィンセント他)。
ジャズでキャリアをスタートさせながら、ますますジャズから逸脱していくあり方はホセと同じく。「ニュー・スクール大学時代から独創的な作曲をする女性として目立っていた」と同級生だったホセは語っているが、確かにここでも他の誰かと比べることのできない独特のメロディー展開にまず耳が行く。ヒンヤリした感触ながら感情の揺れが伝わる歌唱表現も魅力的だ。またスティーヴ・ウィンウッド“Higher Love”など3曲のカヴァーでは、アレンジに自由な精神を反映。エリザベス・シェパードの新作『The Signal』と並んで、女性ジャズ・シンガーとしてのもっとも洗練された新しい表現を示す一枚と言えよう。
▼関連作品
左から、ホセ・ジェイムズの2014年作『While You Were Sleeping』、アンブローズ・アキンムシーレの2014年作『The Imagined Savior Is Far Easier To Paint』(共にBlue Note)
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