
最前線で活躍するトップ奏者を集めた、信頼するバンドメンバー4人
――そして4月24日に、池本さんのクインテットの2枚組アルバム『Flip the Switch』がリリースされます。制作のきっかけについて教えていただけますか?
「自分のクインテット自体は3年前から動かしていたんですが、どのメンバーに固定するかで迷っていたんです。そんな中、昨年2月のライブがすごくハマって、このメンバーで続けていったら絶対に面白いことになる、と確信したんですよね。メンバーたちも同じように感じたみたいで、ライブ後に〈このメンバー、いいよね〉と話が尽きなかった。
しかも運のいいことに、その日のライブをDays of Delightのオーナープロデューサーである平野暁臣さんが観てくれていたんです。〈このバンド、メチャいいね。オレ、トロンボーン大好きなんだけど、まだ1枚も出してないんだ。是非このバンドでキックオフの作品をつくろう!〉とその場でオファーをいただきました」
――それぞれのメンバーについてのコメントをいただけますか? テナーサックスは西口明宏さんです。
「西口さんは甲南の大先輩ですが、2人でフロントを吹いたのはその2月のライブが初めてでした。西口さんとは、音色のブレンドやニュアンスがすごく合う。ご自身のリーダークインテットでも、トロンボーンのジェームズ・マコーレーをメンバーに迎えているくらいで、トロンボーンへの理解がある方です。
実は今回の僕のアルバムでは主旋律をトロンボーンが吹き、テナーサックスがハーモニー担当に回るところが結構あるんです。普通はテナーサックスが上で主旋律を、トロンボーンが下でハーモニーを担当することが多いんですが、そこが逆になっている。それがとても新鮮だったと楽しんでくださいました。
そしてインタープレイというか、アドリブパートになると、西口さんはもう自分の世界を爆発させて、曲の世界観が一気に広がります。“Crouching Start”では、僕のソロも西口さんのソロも全く同じフォームで演奏していますが、ソリストが変わった瞬間に、曲そのものが変わったかのようなサウンドになります。西口さんにソロをお願いすると、自然と曲が展開していくというか、聴いていて飽きることがありません」
――ベースの中林薫平さんは、オーケストラのリーダーとしても活動なさっていますね。
「西口さんと同じく甲南の大先輩で、初めて一緒に演奏したのは薫平さんのオーケストラに参加したときでした。薫平さん自身が作曲家としていろんなアプローチの仕方を持っていらっしゃるので、薫平さんの解釈で弾いていただくことが多いんですが、そんな時に〈そこでその音を弾くんだ!〉みたいな発見があって、そこが素晴らしい。
薫平さんは、アコースティックベースが最高なのはもちろんですが、エレクトリックベースのグルーヴも、めっちゃかっこいいんです。今回のCDがアコースティックサイドとエレクトリックサイドの2枚組になることが決まったときに、薫平さんのエレべの良さを大々的に出せるんじゃないかと思いました。エフェクトに関しても薫平さんにすべてお任せしたんですが、曲によってまったく異なる音色を作ってきてくださって、それがスパイスみたいな感じになっているのもいいなと思います」
――ピアノとキーボードの武本和大さんは、池本さんと同年代です。
「武本とは同い年で、大学2年生の頃から約10年間一緒にライブをやってきました。大学卒業後のリーダーライブには大体、武本を呼んでいますし、一番信頼しているピアニストです。自分のオリジナルの譜面を持っていくと、理解というか解釈も一番早い。〈池本がこう書いているということは、俺にこうしてほしいんだろう〉と彼が理解してくれていることがすごく伝わってきます。
武本は高校までエレクトーンをやっていて、ピアノは大学から始めた。それもあってエレクトリックサイドの楽曲でも、曲によっていろんな音色の種類であったり、弾き方であったりを、何も言わなくても変えてくれました」
――ドラムの小田桐和寛さんは、islesでも活躍しています。
「中高から大学までビッグバンドをやってきた経験から、僕はドラマーが一番大事だと考えています。ドラマーがバンドにハマっていなかったらサウンドしませんからね。
僕はislesでも小田桐さんにお願いしていますが、小田桐さんは曲への理解度の深さというか、愛情みたいなものをドラムに乗せてくる方です。僕がドラムの譜面を書いて持っていっても、小田桐さんはいい意味でそれを無視してくる(笑)。リーダーは僕だけど、曲の舵を切るのは小田桐さん、みたいな面があるんですよね。僕は小田桐さんの音楽性が好きなので、〈小田桐さんがそっちに行こうとしているなら、僕らもそっちに行きましょうよ〉という感じで乗っていきます。
エレクトリックサイドの“Into the Darkness”では、薫平さんが一瞬ウォーキングベースのような弾き方をした瞬間に、小田桐さんが完全にスウィングの叩き方で入ってきて。レコーディングなのにみんなライブのような演奏をするので、すごく面白かったです」