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ここまで聴いて、2曲か3曲ずつ15分ということもあり、どのバンドも〈15分のために全エネルギーを使うぞ〉という意欲フルテン状態でステージに出てきているので、常にフレッシュで大変密度が濃く、〈こんなのが続くなんて歴史的なコンサートになるぞ〉と、序盤の部分で確信します。

と思ったところで、ヘイルストームもスタートから全速力。選んだカバー曲は“Perry Mason”。ボーカルのリジー・ヘイルによく合っていて、よくもこんなに、どのバンドも自分達にぴったりな楽曲を選んでくるなと思います。

円盤化を希望しますが、どうやってカバー曲を選んだのか、音楽監督のトム・モレロの話を収録して欲しいですね。

ラム・オブ・ゴッドは“Children Of The Grave”をチョイス。このバンドの観客に火をつけるパワーは本当に凄い。ステージの間、2回観客にサバスコールをさせ、ライブでの掌握力が凄いことを、配信でもビシビシと感じました。

ここまでカバーの話を中心にしていますが、全てのバンドがそれぞれの代表曲を演奏しており、ブラック・サバスとオジーから続くヘヴィメタルのベスト盤のような内容です。

 

トム・モレロ、スティーヴン・タイラー
©Ross Halfin

トム・モレロズ・オールスターズは、ジェイク・E・リーが参加のスペシャルバンド。“The Ultimate Sin”、“Shot In The Dark”は、最近まで怪我していたとは思えないジェイクのソロが凄かったですね。

“Sweet Leaf”、”Believer”のヌーノ・ベッテンコートのソロはランディ・ローズからギターヒーローのバトンを渡されているようで、素晴らしかった。

その後のヤングブラッドの歌う“Changes”がハイライト。傷つきながら全力で飛び込むような熱量の高い歌唱で会場全体を一人でがっつり惹きつけ、歌に切々と絡んでいくヌーノのギター、かっちり締めるII(スリープ・トークン)のドラムとの相乗効果で、会場が感動で一体となっている様が、配信でもよく伝わってきました。

ここまでで結構お腹いっぱいで、そろそろ休憩しようかなと思ったタイミングで、ジャック・ブラック登場。キッズプレイヤーたちと一緒に“Mr. Crowley”ですよ(笑)。良い気分転換になりました。良いプログラムですね。

 

ここから、私は一旦休憩し、少し寝て、ガンズ・アンド・ローゼズから再開しました。

カバー4曲に“Welcome To The Jungle”、“Paradise City”という構成。私はこの前の来日公演は行っていないので久々に見たのですが、今のガンズ、良いですね。

歌が大きくずれたことを指摘する声もありましたが、いやいや、そういうことは全く問題じゃない。気をつけていても何か事故は起こるものなので、何か起こった時でもちゃんとリカバーして良い音楽にできるかが、本当の力です。その点、アクセルは素晴らしく堂々と曲の終わりまで持っていったと同時に、スラッシュが色々な音で絡んでカバーしたように見受けられ、また、ステージが終わった時にダフがさりげなくアクセルの肩を叩いたりして、時が経って一緒に演奏していることの尊さを、とても感じるステージでした。

 

ジェイムス・ヘッドフィールド(メタリカ)
©Ross Halfin

ブラック・サバスのもたらしたものは、ヘヴィメタルのスタイルだけではなく、音楽にカオスを生み出すことなのだと、ガンズ、そして彼らに続くメタリカを聴いている最中にずっと考えていました。

前半のバンドに比べ、ある面での演奏の緩さがあるんですが、ずれる、もたるといった、縦のラインの正しさだけで音楽を計るのはとても馬鹿馬鹿しい。そんなちっぽけなことを尺度にブラック・サバスの音楽が存在したかというと、そうではないですよね。

音符に書けない〈Something〉を起こせるかどうか、この時間と空間にマジックをかけることができるかどうか。ブラック・サバスは勿論、ガンズとメタリカも音符に書けない音楽をしており、そういう意味では一番サバスの根幹と同じ部分を感じたし、私も一ミュージシャンとして、これを忘れてはいけないなと思ったんです。

終盤の“Battery”、“Master Of Puppets”で、上手かどうかではない価値、綺麗に演奏することだけがメタルに寄与するわけじゃないということを、確信しました。