メタラーのジャズピアニスト西山瞳さんがメタルについて綴る連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回は恒例企画、メタルに影響を受けたジャズミュージシャンへのインタビューです。話を聞いたのはジャズとブラジル音楽をミックスさせる音楽家マルセロ木村さん。好きなメタルからユニークな人生の歩みまでを語ってもらいました。 *Mikiki編集部

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先日のドリーム・シアターの日本武道館公演の夜、Instagramに行ったことを書いたら〈私も行ったよ! 最高だったね!〉とコメントを書いてくれたミュージシャンがいました。

ギター&ボーカルの、マルセロ木村です。

ブラジルで育った彼は、ブラジル音楽のスペシャリストとして自身のプロジェクトを中心に、渡辺貞夫のバンドや、松田聖子のツアーで演奏するなど、大活躍しています。

私は何度かミュージシャンが集まる会で楽しくセッションしたことがあったのですが、以前この連載でインタビューした鈴木直人(ギター)、織原良次(フレットレスベース)、馬場孝喜(ギター)の3人から、「マルちゃん、あれは本物のメタラーだから、話を聞いた方がいいよ!」と激推しされていました。

うん? 私が会った時には、メタラーの片鱗なんて全くなかったぞ?と思いましたが、私と同じ生まれ年。きっと聴いているものは似ているし、普通にドリーム・シアターのライブに行っているし、ブラジルでのメタル事情も聞いてみたい……ということで、インタビューを実施しました。


 

もっと勉強したいしもっと弾きたくて、2つの音楽学校に通った

――マルセロ木村を紹介するとしたら、どういうジャンルのギタリストと紹介したらいいんでしょう? 日本で〈ボサノバ〉っていうと、少し狭いイメージになりますよね。

「ブラジルでMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)っていうジャンルがあるんだけど、ブラジリアンポピュラーミュージックっていう意味で、そのMPBの中にサンバもボサノバもバイヨンとかも入ってるんだよね。例えば有名なジャヴァンとかもMPB。私はこのMPBとジャズをミックスしていて、ジャンル名を言うなら〈MPBジャズ〉かな。意外とそんなにボサノバはやってないんだよね。自分でやっているボサノバの曲は全部リハーモナイズしているし、大分違うサウンドになっていると思う」

――ギターを始めたきっかけを教えて下さい。

「5歳から、すごくギターを弾きたいと思ってたの。母方のお祖父ちゃんはイタリアとポルトガルがルーツなんだけど、ブラジルのショーロっていう音楽をギターで弾いていて、憧れがあった。8歳の時にギターをもらって弾き始めて、まずは自分で練習して、13歳から音楽院に入った。もっと勉強したいしもっと弾きたくて、もう一つ学校に入って、2つの学校に通っていました。

音楽院ではクラシックギターを週3回習って、もう一つの学校ではMPBとクラシックを習っていました。クラシックの学校なんだけど、ショーロやブラジリアンクラシック、例えばヴィラ=ロボスの曲とか、そんなのを週1回習ってた。音楽学校に通うまでは、友達の家に行ってヘヴィメタルを聴いたり、ぼーっとしながらフルアルバムを何回も聴いたりしてたから、〈時間をうまく使わないと〉と思って、普通の学校の授業が終わった後に、その2つに通ってたんです。

ギターのテクニックや譜面を読むことは音楽院で学んだけど、こちらは先生が厳しすぎて2年で辞めて。とても有名な先生で、サンパウロの有名な劇場で、最初にギタリストとしてコンサートをやったような人なんです。私にとってとても大切な先生。家族ぐるみで仲良くしてたんだけど、自分がポピュラーミュージックの方に興味がいっちゃったんだよね。

もう一つのMPBの学校の方では、2人の先生がいて、1人はマルコス・デローモ先生、もう1人はパシェーコ先生。パシェーコ先生のレッスンはエレキギターで、ジャンルはショーロなんだけど、譜面はなし。そのレッスンの時間で、耳で聴いて覚えて弾くの。楽しかったよ。13歳から16歳まで通ってた。16歳の時に、その学校で教えてくれないかと声をかけられて、そのまま先生になって、急に仕事になっちゃったんだ」