『CREAM』でカヴァーされたヒップホップ・クラシックたち
1. Freedom Jazz Dance
いきなりバスタ・ライムズ“Put Your Hands Where My Eyes Could See”(97年)が飛び込んできたように感じる人もいるだろう。もともとエディ・ハリスが発表し、67年作『Miles Smiles』(Columbia)に収録されたマイルス・デイヴィス版がよく知られている。のちにマイルスとナズの擬似共演リミックスも話題になった一曲だ。
2. Big Poppa
クラシックの誉れ高いノトーリアスBIGのファースト・アルバム、94年の『Ready To Die』(Bad Boy)から大ヒットしたメロウなレディ・キラー。元ネタにあたるアイズレー・ブラザーズ“Between The Sheets”の味わいを絶妙に敷きつつ、カッサは印象的なフルートをあしらってボサノヴァ解釈で聴かせる。
3. C.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me)
RZAがチャーメルズ曲から切り取ったループとフックの名フレーズが定番化している、ウータン・クランを象徴する名曲で、93年の初作『Enter The Wu-Tang (36 Chambers)』(Loud)に収録。もともとソウルのネタ使いが多いウータンだけにエル・マイケルズ・アフェアなど生演奏のカヴァー例も多いが、カッサは別曲“Can It All Be So Simple”を組み合わせる妙技で新鮮に響かせる。
4. Rebirth Of Slick (Cool Like Dat)
知的な佇まいもあって当時からジャズ・ラップ的に愛された、ディゲブル・プラネッツの93年作『Reachin’ (A New Refutation Of Time And Space)』(Cooltempo)からの先行ヒット。メンバーのイシュマエル・バトラー(現シャバズ・パレセズ)と関係が深いカッサは、元ネタのアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ“Stretching”も織り込んでいる。
5. Nuthin But A “G” Thang
ドクター・ドレーの92年の初リーダー作『The Chronic』(Death Row)に収録され、スヌープ・ドッグをスターにした西海岸らしいレイドバック名曲。リオン・ヘイウッド“I Want’a Do Something Freaky To You”というネタの味もあってスライフィフスアヴェニューやクァンティックが取り上げてきたが、カッサはよりテンポを落として劇画的な不穏さで迫る。
6. Check The Rhime
もともとジャズのネタが多いこともあって、この種の企画と相性が良さそうなア・トライブ・コールド・クエストの、91年作『The Low End Theory』(Jive)に収録されていた代表曲のひとつ。以前ハバナ・カルチュラ・バンドがカヴァーしていたが、カッサはアヴェレイジ・ホワイト・バンドの“Love Your Life”から取った印象的なホーンを軸に思わぬ方向へ発展していく。
7. SpottieOttieDopaliscious
ここからはサウス勢の2曲。これはアウトキャストが98年作『Aquemini』(LaFace/Arista)に残した粘っこいファンクで、ヒプノティック・ブラス・アンサンブルのカヴァーや、ビヨンセやロジックらがネタ使いした晴れやかなホーンが印象的な一曲。カッサもトモキ・サンダースにそのフレーズを委ねながらより快活な雰囲気で仕立てていて色鮮やかだ。
8. Back That Thang Up
ラストを飾るのは、ジュヴィナイルが98年の出世作『400 Degreez』(Cash Money/Universal)からヒットさせた当時のニューオーリンズ・バウンスを象徴する一曲で、後にドレイクが“Practice”でリメイクしている。バウンスのバンド解釈はジョン・バティステらも聴かせるが、ジャズのスタンダードを混ぜて都会的に響かせるカッサの作法も興味深い。