
海外勢に劣らない国内ロックアーティスト
世界各国のビッグネームが集うフジロックだからこそ、ぜひとも日本のロックバンド/ロックアーティストを観てほしい――そんな思いのもと、国内アーティストを何組かピックアップしたい。
ZAXをドラマーに迎えたHi-STANDARDは、なんと27年ぶりのフジロック出演。 胸に沁みるメロディと猪突猛進なビートで新旧のリスナーを満足させた最新作『Screaming Newborn Baby』の楽曲からお馴染みのアンセムまで、全曲シンガロング必至な熱いステージに期待したい。
初日のWHITE STAGEのトリには、結成30周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATIONが登場。今年は3rdアルバム『ファンクラブ』の再現ツアーなども控えていて同作からのナンバーも聴きたいところだが、そこはフェスの特性をよく理解しているであろうアジカン、きっと世代問わず楽しめるセトリを準備してくれるはず。
さらに、3日目のRED MARQUEEでアメリカン・フットボールやフリコらと競演する浅井健一、サーストン・ムーア・グループと同じ並びというだけでも胸が高鳴るサニーデイ・サービスなど、ステージ割の妙でボルテージが上がる面々にもチェックしておきたいところ。また、先日13年ぶりの新曲“パリ、わたしたちの”を発表したthe cabs、グランジだけでなくダンスロックからビッグビート風のアプローチまでも身に付けたw.o.d.、昨年ROOKIE A GO-GOに出場し、今年メインステージへの切符を掴んだテレビ大陸音頭あたりも見逃せない。
最後に、個人的に観たいのがGRAPEVINEと、バンドセットで登場する柴田聡子の2組。GRAPEVINEはフジロック直後に4thアルバム『Circulator』を取り上げたツアーが始まるので“風待ち”などの名曲が聴けるかも。 *小田

ロックフェスとしての矜持を見せるオルタナ/インディーアクト
フジロックが、伝統あるロックフェスとしての矜持を見せつけているラインナップにも注目してほしい。スタートから29年が経ち、音楽シーンが変化しようとも、エッジーなオルタナティブ/インディーロックアクトが今年も目白押しなのだ。
まずはベテラン勢。ソニック・ユースの精神を受け継ぐサーストン・ムーア・グループは、即興演奏を交えながら、サーストンにしか弾けないあのギターと彼らしい歌を聴かせてくれるはず(なお、ソニック・ユースの曲は演奏しないと思われる)。ポストロックの代表格モグワイは、話題作『The Bad Fire』を2025年に発表したばかり。同作や近作の曲を中心に披露するだろうが、“Mogwai Fear Satan”のようなクラシックの映像喚起的なパフォーマンスにも期待したい。そしてミッドウェストエモを象徴するアメリカン・フットボールが、8年ぶりのアルバム『American Football (LP4)』を携え出演。「前回はすごい嵐に見舞われたから、(中略)今回はもっと上手くやれるはずだ」とマイク・キンセラが語っているので、いやが応でも楽しみになる。
最新のロックを追っているリスナーも、フジロックに足を運ぶべき大きな理由がある。ターンスタイルが2024年のフジロックでおこなったライブは、もはや伝説級だろう。今年もハードコアの熱で、その場にいるオーディエンス全員を巻き込むはずだ。インディロック界で頭一つ抜けた日系スターのミツキは、昨年の『Nothing’s About To Happen To Me』などでアメリカーナ的な親密なサウンドにアプローチしている。そんな最新モードのなかに、最近人気曲として浮上した“I Bet On Losing Dogs”を溶け込ませたセットリストで魅了してくれそうだ(ちなみに“Your Best American Girl”は数年演奏していないので、悪しからず)。
元ブラック・ミディのジョーディ・グリープは、奇想に満ちた超絶技巧の複雑な演奏で独自の音楽世界を築くはず。同じUKインディの土壌から成長し羽ばたいているソーリー※にも、ぜひ注目してほしい。日本人気が高いシカゴインディの象徴フリコを楽しみにしている人も多いだろう。2ndアルバム『Something Worth Waiting For』を発表したばかりの彼らには、収録曲“Seven Degrees”で聴けるような歌心と爆発力に期待だ。新作『Look For Your Mind!』が話題のザ・レモン・ツイッグスも、日本でおなじみの存在。クラシックロックやパワーポップの妙を美しいハーモニーとともに聴かせてくれるにちがいない。シンガーソングライターのスネイル・メイルも3rdアルバム『Ricochet』をリリースしたばかりで、成熟し深化した歌世界を聴かせてくれるだろう。
※2026年7月17日追記:ソーリーはアーティストの都合により出演キャンセルとなりました
個人的な推しはニュージーランドのザ・ベス。傑作『Expert In A Dying Field』に続く新作『Straight Line Was A Lie』も素晴らしく、強靭なメロディとジャングリー/アノラックなサウンドを保ちながら内省性を増している。フジロック出演を機に、もっと人気が出てほしいというか、出るはず! *天野