毎月、連載〈BO NINGENの人生一度きり〉ではメンバー自身の言葉と写真によって世界各国で活動する様子を届けてくれているBO NINGEN。2014年はこれまで以上に長い期間をツアーに費やすなか、初上陸となったオーストラリアの〈ビッグ・デイ・アウト〉(オーストラリア各地を回るフェス・ツアー)、USの〈コーチェラ〉をはじめ世界的に名のあるフェスへ出演を果たし、さらには2年ぶりのニュー・アルバム『III』や、盟友・サヴェージズとのプロジェクトで前年に行った公演のライヴ録音盤『Words To The Blind』のリリース……と、トピックスの多い1年でありました。
そして現在、ちょうどGEZANとのジャパン・ツアーで来日中ということで、1月11日(日)にMikikiが主催するトーク・イヴェント〈Beyond Boundaries〉にメンバー全員でご出演いただきますが、それに先駆けて、2014年もあとわずかとなったある日にフロントマンのTaigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)をキャッチ! 実りの多い2014年を振り返ってもらいつつ、なかなか訊くことができなかったあれこれについて、まとめてお話をうかがってまいりました!
――2014年はオーストラリアの〈ビッグ・デイ・アウト〉からスタートして、アメリカの〈SXSW〉や〈コーチェラ〉といった大きいフェスへの出演をはじめツアー続きでしたし、その間には最新作『III』やサヴェージズとの『Words To The Blind』をリリースしたりと、本当にいろいろありましたが、いま振り返ってどんな年でしたか?
「今年リリースした2作品は、いずれも2013年のうちにレコーディングを終えていて、2014年に入ってからはミックスやマスタリングの作業くらいで、2014年は1年の半分ほどしかロンドンにいなかったくらいツアーやライヴに費やした1年でした。イギリス国内だけでなくヨーロッパやアメリカ、日本を含め、ずっとツアーに出ていましたね。フェス出演やカサビアンのサポートなどで計3回訪れたアメリカ、そしてオーストラリアといった初めて行くところもあって、開拓する時期でもありました。連載にも書いていましたが、〈日常なのか非日常なのか〉というところをよく自分のなかで考えましたし、また演奏が前年の倍以上に増えていたなか、毎日同じメンバーで演奏し、セットリストもあまり変えられない状況のなかでいかに自分たちを飽きさせないか、というのも課題だったと思います。自分たちだけで回ったツアーでは結構セットを変えていたんですが、サポートやショウケースでのライヴ時間は30分程度が多くて、それだと曲順や曲目もあまり変えられないんです。会場や国が異なれば全然違う刺激はあるんですけど」
――その〈飽きさせない〉ために、具体的にはどのようなことをされていたのでしょうか?
「僕の場合はその時に思ったことを出したいというのもあって、コンセプトは同じですが毎回歌詞を変えたり、ライヴをしていくなかで毎回何かを発見してくことだったり、そうやって日々ライヴができる環境に身を置くことをあたりまえだと思わないことですかね。感謝を含め、忘れがちなことを自分たちに気付かせないと、ということは考えていました」
――物理的に何かを変える、ということではなくメンタルの部分を意識されていたんですね。
「そうですね、僕自身はそうでした」
――ワンマン・ライヴを観ると改めて思いますが、30分にBO NINGENの醍醐味を凝縮させる作業というのも大変ですよね。
「初めて僕らを観る方、サポートでのライヴの場合はメインのアーティストがやっている音楽と系統が違うこともあるので特にそうなのですが、最初は良くも悪くもやっぱり口ポカンで、いちばん温まってくるのはライヴ後半なんですよね。正直やりにくさを感じることもありますが、記憶に残ってくれればと思っているんです。逆に糧になることもありますし。カサビアンのサポートでアメリカを回った時のお客さんはすごく温かかったんですけど、例えば前方にいる方たちはメイン・アクトの入り待ち/出待ちをするような熱狂的なファンなので、前座のライヴではつまらなさそうにしていることも多いんです(笑)。でもギターのYukiは、そういうシチュエーションのほうが燃えるみたいで、自分にまったく興味のない女性の気を惹くのと同じ感覚だそうです、ハハハ(笑)」
――なるほど(笑)。
「2013年の後半2か月は、アメリカでカサビアンのサポートと、〈CMJ Music Marathon〉というショウケース的なイヴェントで初めて僕たちを観る方たちに向けてずっとライヴをしていたので、本当に勉強になりました。一方で、いま日本に来て自分たちのツアーで回れば僕らの曲を知っていてくれている人たちの前でやれますから、やっぱりバランスですよね。どちらかだけやっていては気付かないこともあるので」
――国によって反応もだいぶ違うんですか?
「そうですね、国によっても違いますし、日本だとより顕著ですがイヴェントによって全然違ったりします。日本よりヨーロッパのほうが反応がストレートというのは感じていましたが、アメリカやオーストラリアはさらにそれがストレートで、全然僕達を知らなくてもイイなと思ってくれればその気持ちをありのままに出してくれるので、非常に張り合いがありました。イギリスもアメリカもオーストラリアも同じ言語を話すのに、国によってそういった反応の仕方や物の考え方が違うというのはおもしろいですよね。わかっているつもりでしたけど、実際にライヴをしてみて改めて気付かされました」
――アメリカは土地も広いですし、東と西でもだいぶ異なるんでしょうね。
「まったく違いますね。でも実は日本国内のほうが違う気がします。例えばイギリスだと、イングランドにスコットランド、アイルランド、ウェールズと地域が分けられますが、そのボーダーを越えない限りそこまで違いはないように感じているんですが、日本は県によってカラーが違うと思います」
――へぇ~、そうなんですか! ではそのあたりのお話はぜひ1月11日のトーク・イヴェントで詳しく聞かせていただきたいと思いますが、本当に年々、活動範囲(国)も広がっていますし、各国で出演されるフェスなどの規模も大きくなっているので、2015年以降も楽しみです。
「そうですね、結成7年になりますが、いきなりボンと行く(ステージが上がる)のではなく少しずつステップアップしている感じなので、それをしっかり踏み外さないようにしないとなと思っています」