コラム

ダイナソーJr、ディアハンター、テンプルズ、サヴェージズ―HOSTESS CLUB ALL-NIGHTERに集結する世界的ライヴ・バンドを一気にチェック!

HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER特集:第1回

 

日本を代表する都市型フェス〈SUMMER SONIC〉の開催が、あと約1か月までいよいよ迫ってきた。そのなかで注目したいのが、8月20日(土)の深夜帯に千葉・幕張メッセで開催される〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉(以下〈HCAN〉)だ。海外インディー・ロックの祭典として知られる〈Hostess Club Weekender〉の価値観と大型フェスのスケールを理想的な形で結び付け、独自の審美眼で先鋭的なアーティストを召集することに成功。初開催となった昨年は、トム・ヨークF.F.S.フランツ・フェルディナンド&スパークス)など実力派たちが圧巻のパフォーマンスを披露してくれたのも記憶に新しいところだ。

そして、2回目の開催となる今年も、ダイナソーJrアニマル・コレクティヴの2組を各ステージのヘッドライナーに迎えて、世界的に活躍する旬の8組が集結する。今年の〈HCAN〉で特筆すべきは、いずれの出演アーティストも過去の来日公演で大反響をもたらした実績があること。昼のメイン・ステージすら凌駕しかねない、素晴らしいライヴを期待できるはずだ。ちなみに〈HCAN〉は、〈サマソニ〉東京公演のチケット(リストバンド)を持っている方なら誰でも入場可能。さらに、〈HCAN〉のみの入場券も用意されている。昨年は〈HCAN〉目当てと思しき観客を現地でたくさん見かけたものだが、それは〈Hostess Club Weekender〉というブランドが確固たる信頼を集めている証拠である。

〈サマソニには行くつもりだけど、深夜にどうするかはまだ決めてない〉〈出演者の名前をよく耳にするので、行くべきか考え中〉〈実はどのアーティストも知らないけど、イヴェントの評判がいいので気になっている〉――そんな迷える読者のために、Mikikiでは真っ先に知りたいに違いたい必須3項目を、前・後編の2回に分けて各出演アクトの紹介をしていく。この前編では、ダイナソーJr、ディアハンターテンプルズサヴェージズという怒涛のライヴ・バンド4組をピックアップ。これを読めば、〈HCAN〉の予習はOK……のはず。 *Mikiki編集部

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ダイナソーJr

1)そもそも、どういうバンド?

結成30年を超える大ヴェテラン。その音楽性も存在感も、いい意味で若い頃と変わらない。中低域が分厚い爆音ギター・サウンドは、全身がマッサージされるような、ロックならではの気持ち良さ。しかも歌メロは一緒に歌いたくなるほどメロディアスかつ超キャッチーなので、痛快この上なし。ヴォーカル/ギターのJ・マスシスは、80年代以降のUSロックが生んだ最大の才能の一人だ。〈あらかじめ負けが決定している〉X世代特有の冷めたシニシズムと空虚感を爆音ギターに託して歌うが、カリスマという言葉からは程遠い、大きなぬいぐるみのような風貌とのほほんとしたキャラクターの持ち主である。

2)今回のライヴでハイライトになりそうな曲は?

キャリアが長いだけに名曲多し。8月5日にリリースされる新作『Give A Glimpse Of What Yer Not』からの楽曲も期待されるが、あえてここでは“Freak Scene”を推したい。同曲は初期の傑作アルバム『Bug』(88年)の代表曲で、ライヴでは定番中の定番。歯切れの良いキャッチーなイントロや巨大な暴力衝動を爆発させているようなギターに、会場がモッシュとダイヴ、大合唱になること間違いなしの1曲だ。最近のライヴでは必ず演奏されているので、今回もクライマックスを飾るのはほぼ間違いない。

3)最近の気になる動きと、ライヴの観どころ

〈HCAN〉出演の直前に4年ぶりの新作リリースを控えているが、同アルバムでもJ・マスシス、ルー・バーロウ(ベース)、そしてマーフ(ドラムス)というオリジナル・メンバーは健在。一聴しただけですぐにダイナソーとわかるオリジナリティーに富んだ楽曲群は、ファンの期待に100%応えてくれるだろう。また、マスシスだけでなくバーローの作曲/ヴォーカル曲にも注目だ。バンドはヨーロッパからアメリカを回るワールド・ツアーの真っ最中に日本に立ち寄り、〈HCAN〉の後には東京でワンマン公演も予定されている(詳細はこちら)。 *小野島大

 

ディアハンター

1)そもそも、どういうバンド?

USアトランタ出身のディアハンターは、奇跡的なバランスで成り立っているバンドだ。シューゲイザーの恍惚とドリーム・ポップの微睡みが出会った3作目『Microcastle』(2008年)でロック・シーンに風穴を開けた彼らだが、アルバムごとに大胆なメタモルフォーゼを遂げる音楽性はもとより、中心人物のブラッドフォード・コックス(ヴォーカル/ギター)が痩せこけた身体(ジョーイ・ラモーンと同じ先天性の病気を持つ)で絶唱するライヴは、刹那的な美しさと危うさが溶け合ってオーディエンスを桃源郷へ誘う。また、アトラス・サウンドロータス・プラザといった、メンバーの課外活動がフィードバックされるスタンスは、レディオヘッドに通じるものがある。

2)今回のライヴでハイライトになりそうな曲は?

今年4月に彼らのNY公演を観てきたのだが、長髪イケメンのサックスにキーボード、パーカッションをサポートに迎えた現在の6人編成はまさに最強。ライヴ当日は会場の2階席からブラッドフォードの父親が見守っていたこともあって気合十分で、最新作『Fading Frontier』(2015年)の収録曲も迫力と躍動感がグッと増していた。特に圧巻だったのはリード・シングルの“Snakeskin”で、ラテン/サルサ色の濃いギター・カッティングから終盤のノイズ合戦へと雪崩れ込む様は、トーキング・ヘッズの映画「ストップ・メイキング・センス」(85年)を初めて体験した時にも似た興奮を覚えたものだ。最近のセットリストでも本編のクライマックスとしてほぼ100%演奏されているので、大いに期待してほしい!

3)最近の気になる動きと、ライヴの観どころ

本来であれば昨年の〈HCAN〉にも出演予定だった彼らだが、モーゼズ・アーチュレタ(ドラムス)の体調不良でキャンセルとなっていたため、今回のステージはバンドにとっても雪辱戦となる。しかし裏を返せば、昨年8月の時点では『Fading Frontier』がリリースされていなかったわけだし、新曲もまだ試行錯誤の最中だったはずなので、われわれ日本のオーディエンスは過去最高に〈仕上がった状態〉のディアハンターを目撃するチャンスを与えられたことになる。先述したように6人編成のアンサンブルが震えるほど素晴らしいので、“Cover Me (Slowly)”や“T.H.M.”、あるいはロケット・パント(ギター)がマイクを取る“Desire Lines”といった人気曲がどう化けるかもお楽しみに。 *上野功平

 

テンプルズ

1)そもそも、どういうバンド?

イギリスの田舎町、ケタリング出身の4人組サイケデリック・ロック・バンド。初来日となった2013年末の〈Hostess Club Weekender〉以来、コンスタントに日本の地を踏んでいるが、良い意味で時代錯誤とも呼べるファッションや端正なルックスで女性ファンも多い。ファースト・アルバム『Sun Structures』(2014年)では12弦ギターとストリングスをフィーチャーし、初期ピンク・フロイドバーズにも迫る万華鏡ワールドを繰り広げていたが、テンプルズの最大の魅力は練りに練られた世界観とヒネりの効いたメロディー・センス。イタリアン・プログレからクラウトロックまで掘り下げる音楽フリークっぷりは相当なもので、UKロックの未来を占ううえでもその動向は要チェックだ。

2)今回のライヴでハイライトになりそうな曲は?

今回の〈HCAN〉で初めてテンプルズのライヴを観るという人もいるだろうが、やはりハイライトになりそうなのが彼らのデビュー・シングルにして、ノエル・ギャラガージョニー・マーらも大絶賛した“Shelter Song”。イントロの12弦ギターがもたらす〈揺らぎ〉にはフロアの空気を一変させる魔法があるし、〈Late Night~♪〉とこだまするコーラスのグルーヴ感はサイケ期のビートルズゾンビーズ、はたまた昭和歌謡すら思わせる味わい深さ。ちなみに、先日話題になったUNDERCOVERとVANSのコラボ・シューズのデザインには、なんとこの曲の歌詞が引用されている。

3)最近の気になる動きと、ライヴの観どころ

昨年の夏にSNS上でセカンド・アルバムの制作に着手したことを明らかにした彼らだが、現時点ではリリースについての公式アナウンスはされていない。しかし最近のツアーでは“Roman God Like Man”や“Certainty”と名付けられた未発表曲をいくつか披露しており、〈HCAN〉でもプレイする可能性は高いだろう。また、YouTubeにアップされた素人撮影のライヴ映像を観る限りでは、以前よりもシンセやエフェクターを駆使したプログレ・ライクな音作りを試みているようだし、来る新作はサイケ・バンドとしてのイメージを覆す大傑作/問題作となる予感も……。深夜の幕張メッセで浴びるテンプルズのサウンドは、どんなアルコールよりも気持ち良く酔えそうだ。 *上野功平

 

サヴェージズ

1)そもそも、どういうバンド?

ロンドンで結成された4人組のガールズ・バンド。近年注目を集めるガールズ・バンドといえば、いま話題のハインズ然り、多くがガレージ・ロックやシューゲイザーをスタイルとしているのに対して、サヴェージズは極めて異質だ。彼女たちが鳴らすのは、ノイジーで荒々しいギター・サウンドを基調とした鋭利で硬質なポスト・パンク。ほかと一線を画す彼女たちの美意識や佇まいは、ジョイ・ディヴィジョンも引き合いに出されたファースト・アルバム『Silence Yourself』(2013年)のアートワークやモノクロームで統一されたルックスからも強烈に感じられるはずだ。また、日本が世界に誇るサイケデリック・ロック・バンド、BO NINGENとのコラボ・アルバム『Words to the Blind』(2014年)も、彼女たちの音楽的嗜好の懐深さが窺い知れる好盤。

2)今回のライヴでハイライトになりそうな曲は?

スタジオ・ライヴを録音した『Silence Yourself』に対して、各パートごとにレコーディングして制作された最新アルバム『Adore Life』(2016年)の楽曲は、もはやラウドでファストなだけではない、演奏の熟度も加味されたサウンドの重さや厚みが大きなポイント。その最たる曲で、ライヴでもピークを刻むこと間違いなしなのが、5分を超える壮大な“Adore”だ。同曲は、近年のニュー・インダストリアルポスト・メタルとの共鳴も窺わせる『Adore Life』のなかでもスワンズも彷彿とさせる重量感を備えた〈サヴェージズ流サッドコア〉と呼びたい白眉の出来。ミニストリーヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“The Black Angel's Death Song”を演奏するような“The Answer”も甲乙付け難いが、ここは“Adore”の深い陶酔感を心ゆくまで堪能したい。

3)最近の気になる動きと、ライヴの観どころ

『Adore Life』に関して言えば、〈愛〉をテーマに据えたリリックにストーリーテリングも重要なポイント。〈私自身が過去に乗り越えた感情を思い起こさせるものがあった〉とは、歌詞を書いたジェニー・ベス(ヴォーカル)のコメントだが、そうした内省的な探求は彼女の歌唱にも当然ながら色濃く表れている。音の質感や演奏のアタックのみならず、表現されるすべてを含めた〈音楽〉としてのヘヴィネス。日本でのライヴは2年半ぶりとなるが、今回のステージでは前回とはまた次元の異なる彼女たちのパフォーマンスを目の当たりにできるはず。ちなみに個人的には、巧みなプレイで存在感を増したフェイ・ミルトン(ドラムス)の立ち回りにも注目したいところだ。 *天井潤之介

HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER
日時:2016年8月20日(土)
〈SUMMER SONIC 2016 Midnight Sonic〉
会場:幕張メッセ
出演: ダイナソーJr/アニマル・コレクティヴ/ディアハンター/マシュー・ハーバート/テンプルズ/サヴェージズ/アウスゲイルジョン・グラント
開場/開演:22:00/23:15
料金(税込)/8,500円
※〈サマソニ〉東京公演の各入場券をお持ちの方は入場可能。
※写真付IDチェックあり
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Hostess Club Osaka Presents
Deerhunter / Savages

2016年8月18日(木)大阪・なんばHatch
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Hostess Club Presents
Dinosaur Jr.

2016年8月22日(月) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
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TOWER DOORS
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