インタビュー

SLEATER-KINNEY 『No Cities To Love』 Part.1

オルタナ界の女番長、スリーター・キニーが大復活だ!

SLEATER-KINNEY 『No Cities To Love』 Part.1

 スリーター・キニーは決して裏切らない――多くのファンがそう改めて確信させられるだろう。2006年の活動停止から9年ぶりに復活したオリンピア発のフィメール・パンク・トリオ(コリン・タッカーキャリー・ブラウンスタインジャネット・ワイス)は、90年代から2000年代にかけて7枚のアルバムを残し、そのアグレッシヴな音楽性とビキニ・キルなどから受け継いだ女性視点の攻撃的な歌詞で、人々を刺激してきた。例えば彼女たちの前座を務めたこともあるゴシップを筆頭に、サヴェージズパーフェクト・プッシーホワイト・ラングレ・ブチャレッツといった世界中のバンドウーマンが奔放に活躍できる土壌を固めた存在と言っても過言ではない。

 2010年にはコリンがコリン・タッカー・バンド、キャリーとジャネットはワイルド・フラッグとしてそれぞれ個別に活動するも、ある日キャリーがコリンの家を訪れた際にふと再結成話が持ち上がり、2014年にはこれまでの全作品を収めたボックス・セット『Start Together』をサブ・ポップよりリリース。そして再結成後初となるニュー・アルバム『No Cities To Love』をここに堂々と完成させたのだ。

SLEATER-KINNEY No Cities To Love Sub Pop/TRAFFIC(2015)

 「〈再生〉を象徴するアルバムにしたかった。このバンドの生まれ変わりをちゃんと示すことで、私たちが真剣に活動を再開させたって知ってもらいたかったの」(コリン:以下同)。

 アルバムは気心の知れたプロデューサー、ジョン・グッドマンソンとタッグを組んで制作された。コリンの気迫に満ちたシャウト、キャリーの切れ味鋭いギター、そしてジャネットの豪快なドラミングが織り成す唯一無二のアンサンブルは、97年の名作『Dig Me Out』以上にタイトでソリッドなエナジーに満ちている。一方で、楽曲そのものはこれまでのどの作品よりも練り込まれた印象だ。何でもキャリーはメロディーにこだわるがあまり、コリンをイライラさせることもあったのだとか。

 「その通りよ(笑)。同じ曲を何度も何度も書き直したわ。自分たちが納得するまで〈まだまだ!〉という思いが強かったんだと思う」。

 そうした苦労を経て生まれた本作。先行公開された“Bury Our Friends”での〈憧れの人を蘇らせ/友人を葬る〉というショッキングな歌詞の意味も気になるところだ。聞くところによると、そこにはバンド再開に対する並々ならぬ決意が含まれているという。

 「再開するにあたって自分たちのルーツに立ち返りつつも、同時に〈かつて若い時に触発された音楽はもうはるか昔のものなんだ〉って自覚しなきゃいけなかった。それにこれまで大事な人たちを何人も失ってきたから、〈自分たちがまだ生きていて共に活動できることに感謝しなきゃ〉っていう思いも込めているの」。

 いまや2児の母となったコリン、コメディー番組「ポートランディア」で大人気のキャリー、そして多くのUSインディー・アクトを支える傍らマット・キャメロンパール・ジャム)らとのユニットでアルバムも発表したジャネット――個々の充実した日々を経てふたたび三位一体となった彼女たちの放つ音は、ブランクを感じさせない現役感に満ちている。3人はもうかつてのライオット・ガールではないし、その呼称はもはや必要ないだろう。なぜなら〈最高に真摯で痛快なロックンロール〉と表現するに相応しい強度を持ったサウンドを携えて戻ってきてくれたのだから。プレスリリースにある〈このバンドは生半可な気持ちで活動できるものじゃない〉というキャリーの意見に同意しつつ、コリンは最後にこう語ってくれた。

 「やっぱり全員が揃わないとスリーター・キニーにはならないわね。この3人にしかないケミストリーがあって、そこから私たちの曲が生まれてくるのよ」。

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