モントリオールを拠点とし、グライムスの『Visions』でもフィーチャリングされた25歳の宅録青年が、名門サブ・ポップに移籍して2年ぶりのアルバムを発表した。タイトルはUSの伝説的な作家であるヘンリー・ミラーから着想を得たようで、本人いわく「妄想感情とディストピアに支配された作品」とのこと。前作『Lesser Evil』で聴けた〈ゲーム音楽meetsブレイクコア〉的なアプローチはやや減退し、アニマル・コレクティヴやダン・ディーコンを彷彿とさせる、トライバル/4つ打ちをはじめとした予測不能のビート展開が耳に残る。サンプラー&生楽器を駆使して執拗なほど塗り固められたサウンド・コラージュがとにかく圧巻。それにしてもこの人のナイーヴな歌声、どこかトム・ヨークに似ていません?