〈世界のドラマー神保彰〉の最新リーダー・ソロ作『グルーヴ・オブ・ライフ』がとどいた。通算19作目(エレクトリック・バードからの9作目)であり、メンバーはエレクトリック・バードの1作目より不動のエイブラハム・ラボリエル(ベース)とオトマロ・ルイーズ(ピアノ)、4作目より参加のアレン・ハインズ(ギター) 、そして今回2曲に参加したポール・テイラー(サックス) 。
「毎年、自分の書いた曲を成長記録のようにお届けできるのは嬉しいことです。バンドのコミュニケーションの密度も高くなり、今回はより成熟したバンド・サウンドをお届けできたと思います。毎年同じメンバーで集まってレコーディングするというケースは珍しいので、みんな楽しみにしてくれているようです」
そして巧妙な選曲と随所にこだわりを盛り込んだアレンジによる大胆なカヴァー作『ジンボ・デ・CTI』も同時リリース。
「僕は高校生のとき、CTIのレコードから音楽に入って行きました。だから、とても思い入れがあるわけです。今回のカヴァーは、あの頃自分がいいなと思っていたツボを改めて音楽理論的に検証する作業でしたが、今なお全く古さを感じさせないのは素晴らしいですね。まさに時代を越えるマスターピースと呼ぶに相応しい楽曲であると確信しました。僕のアルバムによって、また若い人たちがCTIの作品に興味を持ってもらえれば嬉しいですね」
では、彼が提唱するネオ・クロスオーヴァーとは?
「70年代のCTIサウンドに21世紀のスパイスを振りかけたような、有機的で温かく、しかもエッジのある音楽を目指しています。今回CTIのカヴァー・アルバムを作って自分のオリジナル・アルバムと対比させてみたのですが、結構つながっていることに気付きました。2枚聴いていただけると、僕のルーツとその延長線上にある現在、みたいな感じで面白いんじゃないかと思います」
さて、今年いっぱいの大まかなスケジュールは既に埋まっているという神保彰。そのあたりをかいつまんで教えていただこう。
「6月まではワンマンオーケストラで日本全国を行脚しながら、さらにカシオペア3rdのレコーディングやコンサートにも参加します。 その間に次なるオリジナル・アルバムに向けての作曲やアレンジといった準備を行います。年の後半は世界各地でのドラム・クリニックと、毎年恒例LAでのオリジナル/カヴァー2枚のアルバム・レコーディング。カヴァーの次作はカシオペアの初期に書いた曲などを採り上げて『ジンボ・デ・ジンボ』なんてどうでしょうね(笑)」