個性的すぎる変拍子を叩き出した5人のドラマーを紹介!
BOBO
中嶋イッキュウがBOBOを初めて知ったきっかけだというMIYAVIをはじめ、近年はくるりやフジファブリックなどサポート・ドラマーとして幅広く活躍しているが、そもそもは54-71での三点のみのドラム・セットで衝撃を与えた人。アヴァンギャルドな演奏はお手の物だ。
「他でやるときは〈タムをつけてください〉とか言われたりするそうなんですけど、うちらのときはBOBOさんのいちばん好きなセットでやってもらったんで、音を聴いた瞬間に〈あ、BOBOさんや〉って思いました。すごい回数(のリハ)をやりたがる人で、ただtricotの曲にドラムを乗せるだけじゃなくて、ちゃんと4人のグルーヴが出るまで音を合わせたので、一緒にバンドを組んだみたいな感じで、夢のようでした」(中嶋)。
「やっぱり音がすごい独特で、タンバリンがシャンシャン言ってるのとかも、最初は〈どうなるんやろう?〉って思ったんですけど、合わせてみたらすごくカッコ良くて、そういうのもめっちゃ勉強になりました」(ヒロミ・ヒロヒロ)。
山口美代子
DETROITSEVENではロック・ドラマーのイメージが強いが、フィーダーのタカ・ヒロセらと結成したdmgではダンサブルなビートも披露するなど、幅広いプレイ・スタイルの持ち主。tricotのライヴ・サポートも担当し、『A N D』でも最多の3曲に参加と、いまや第4のメンバーと言ってもいいだろう。
「komaki♂とはタイプの違う人と一緒に次のtricotを作っていきたいと思って、声をかけさせてもらいました。変拍子とかそんなにやってなかったと思うんですけど、あんなにドカスカ変拍子を叩く人はあんまおらへんと思うから、そこがカッコイイなって。あとはやっぱり同じ女性なので感覚が合うというか、失敗を先に考えないし、本番に強かったりするのは〈女だな〉って(笑)。それと美代子さんはハッピーな人で、“庭”を録ってるときも〈マラカス入れてみよう!〉とか、女子会みたいな感じで遊びつつどんどんアイデアが出てきて、そういう楽しんで作った空気感も今回出てるんじゃないかと」(中嶋)。
千住宗臣
DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENやPARAにも参加するなど、幾何学的なリズムをグルーヴィーに叩かせたら、この人の右に出るものはいない。一度ブレイクを挿んでからラストに向かって再度高まっていく“消える”のアレンジがカッコイイ。
「〈SANUKI ROCK COLOSSEUM〉のときに後藤まりこさんのバンドで叩いてはったのを観て、叩き方も、スネアのタイトな感じも、めっちゃカッコイイと思って。BOREDOMSとかウリチパン郡とかをやってはったのはその後で知ったんですけど、BOREDOMSとか変態ドラマーの集まりなんで、千住さんがいたっていうのも納得しました(笑)」(ヒロミ)。
「千住さんは唯一向こうから〈こうやろうや〉って言ってくれて、参加してもらった2曲とも、千住さんがアレンジした部分があります。ライヴでも何本か叩いていただいたんですけど、千住節すぎて原曲と全然違ったから、戸惑ったお客さんがいたかも(笑)。でも、めっちゃカッコ良かったです」(中嶋)。
脇山広介
tobaccojuiceや元cutman-boocheの金佑龍によるバンドなどに参加し、ジャズやファンク、ソウルをベースにした軽快なドラミングによって、アーバンな雰囲気の“神戸ナンバー”や、H ZETT Mのエレピも艶やかなバラード“QFF”など、tricotのポップな側面の成長に大きく貢献。初回限定盤に収録されている彼女たちの変名ユニット〈期待外れにも程GIRL〉の迷曲にして名曲“御尻爆弾”でもドラムを担当している。
「どんな曲をお願いしても器用に叩いてくれはって、いい意味で隙間を作ってくれるので、調子に乗って歌いまくってもすごく聴きやすいんですよね。ワールド・ミュージックがすごい好きっておっしゃってたし、やっぱりオシャレやなって。途中で急に曲を増やしちゃったりもしたんですけど、何事もないかのように〈わかった〉って、臨機応変に対応してくれたのもすごいなって思いました。“御尻爆弾”はいつかフェスのメイン・ステージで演奏したいです(笑)」(中嶋)。
刄田綴色
オープンハンドのスタイルでさまざまなジャンルを叩き分け、2012年まで〈刄田綴色〉として東京事変のメンバーとして活躍。フジファブリックのサポートなども務め、事変の解散後は2013年に〈ガレージAOR〉と呼ばれるscopeの正式メンバーに復帰している。『A N D』ではオープニングの“Noradrenaline”に参加。今作は彼のドラムで始まる。
「椎名林檎が好きで、東京事変のライヴ映像をずっと観てて、ドラマーの人で初めてカッコイイなって思ったのが刄田さんだったんです。派手なんだけど、しなやかでもあって。あんまり変拍子のイメージはなかったですけどぜひ叩いてほしいと思ったので、わりとストレートに爆発力があるタイプの曲をお願いしました」(キダ モティフォ)。
「tricotの曲はスネアでおもしろいリズムを刻むのが多かったけど、刄田さんはどちらかというとスネアはストレートで、タムとかシンバルで派手に広げてくれる感じやったので、それがすごく新鮮でした」(ヒロミ)。