いま入手が容易なロジャー&ザップ・ファミリーの重要作を紹介!

SHIRLEY MURDOCK Shirley Murdock! Elektra(1985)

ザップ軍団の女性で抜群の存在感を放った歌姫。この処女アルバムはもちろんロジャーの制作で、パワフルで凛とした彼女の声を余すところなく活かした名盤だ。特にバラードが絶品で、“Go On Without You”や、後にケリー・プライスらがカヴァーした不倫ソング“As We Lay”は出色の出来。リル・キム曲で引用された“The One I Need”でのフュージョン感覚も絶妙。 *林

 

 

SUGARFOOT Sugar Kiss Warner Bros.(1985)

ロジャーにとっては地元の先輩にあたるオハイオ・プレイヤーズの看板ヴォーカリスト/ギタリストのソロ作も、ザップ軍団総出でバックアップ(ビリー・ベックとも再会)。グループ時代の名曲を再演した“Fire”“85”などのファンクも痛快だが、“I Will Be Your Star”のようなスロウ・グルーヴも十八番のメロウ感覚をザップ流儀で再現。これが唯一のアルバムとなった。 *林

 

 

ZAPP The New Zapp IV U Warner Bros./ワーナー(1985)

テリー“ザップ”トラウトマンがアレンジにも深く関与するようになった4作目。チャーリー・ウィルソンも声を重ねたスマッシュ・ヒット“Computer Love”は機械的な響きをアーバンな甘酸っぱさに結び付けた静謐なスロウの名曲。フラミンゴスで知られる“I Only Have Eyes For You”のカヴァーもあって、ローライダー~チカーノにも愛される魅力の本質が味わえる。 *出嶌

 

 

ROGER Unlimited! Warner Bros./ワーナー(1987)

ソロ3作目。チャーリー・ウィルソンもカヴァーした、むせび泣くようなトークボックス名演で知られるバラード“I Want To Be Your Man”が大ヒットしたほか、JB“Papa's Got A Brand New Bag”のザッピーなカヴァーも話題を集めた本作は、あらゆる意味で限界ナシ! 旧ヒューマン・ボディ時代の曲をランDMC風に再演した“Been This Way Before(Rap)”も刺激的。 *林

 

 

SHIRLEY MURDOCK A Woman's Point Of View Elektra(1988)

前作の成功式を踏襲しつつ、本人主導の領域も増したセカンド・アルバム。「ドリームガール」の“And I Am Telling You I'm Not Going”なども力量を見せつける出来映えだろう。ヒットしたのはまたも不倫ソングの“Husband”だが、シャーリー自身はここで清らかな“Spend My Whole Life”(ザップのカヴァー)をデュエットしたデイル・デグロートと結婚している。 *出嶌

 

 

ZAPP Zapp Vibe Reprise/ワーナー(1989)

ロジャー在籍時では結果的に最後のアルバムとなった一枚。ミラクルズ“Ooh Baby Baby”のスウィートなカヴァーで幕を開け、オハイオ・プレイヤーズ“Fire”も挿みながら変わらぬザップ節を聴かせるが、大所帯ファンクに逆風が吹く時代の流れを受けて、アレンジはコンテンポラリーに整えられたような印象もある。ヴォーカル隊にはトイカ・トラウトマンビッグ・ロブの名前も。 *出嶌

 

 

SHIRLEY MURDOCK Let There Be Love! Elektra/ワーナー(1991)

引き続きロジャーの全面プロデュースではあるものの、 ロジャーやビリー・ベックの絡むパートと、実質的にデイル・デグロートとの夫婦主導で仕上げたパートが半分ずつ収められている。後者ではニュー・ジャック調やハウシーなアップ・ナンバーも披露され、現在進行形な側面を追求。ザッピーなノリは希薄ながらも圧倒的な歌唱力で聴かせる様が清々しい。 *出嶌

 

 

ROGER Bridging The Gap Reprise/ワーナー(1991)

これまた結果的にラストとなったソロ名義作。『Zapp』以来の外部プロデューサーとしてデヴィッド・ギャムソンを迎え入れ、ヒップホップ方面からの評価に応えるような冒頭の“(Everybody)Get Up”から、90年代の音と自身の持ち味を橋渡しが試みられる。ロジャー単独で仕切った部分も跳ねたアップ“Curiosity”や名スロウ“Love Incorporated”が飛び出す充実ぶりだ。 *出嶌

 

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