いま入手が容易なロジャー&ザップ・ファミリーの重要作を紹介!
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今年の頭にオリジナルのまま復刻(しかもレスター・トラウトマンによるリマスタリング!)されて話題を呼んだ逸作。ザップの前身バンドによる唯一のアルバムで、ザップでの徹底的なクールネスよりも若々しい勢いを優先した印象で、トークボックスに個性を見い出しながらもJBやEW&Fのような先達の影響を臆せず発散する姿が瑞々しい。 *出嶌
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共同制作者にブーツィーを迎え、Pファンク所縁のデトロイトはユナイテッド・サウンド・システムズで録音されたファースト・アルバム。トークボックス全開の“More Bounce To The Ounce”にトドメを刺す一枚だが、ボビー・グローヴァーがソウルフルに歌う、2パック“Keep Ya Head Up”ネタのスロウ“Be Alright”も秀逸だ。“Freedom”は旧ヒューマン・ボディ曲の再演。 *林
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ソロ名義での初アルバム。表題通りロジャーの多面性を伝える内容で、名曲独自解釈の先鞭をつけたマーヴィン・ゲイ“I Heard It Through The Grapevine”のカヴァーからラストのBB・キング風ブルース讃歌まで、黒人音楽への敬意が滲む。ザップ流儀のトークボックス炸裂曲“So Ruff, So Tuff”、タキシードが引用した“Do It Roger”のファンクがとにかく強力だ。 *林
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遊び心と路上感の入り交じった“Doo Wa Ditty(Blow That Thing)”を収め、前作に続いてゴールド・ヒットに輝いた2作目。低音ヴォイスで知られるPファンク重鎮のレイ・デイヴィスも参入し、ファミリーの拡大も含めたウズウズするような勢いが作品全体から漂ってくる。初めてR&Bチャート首位を奪った“Dance Floor”は、ぜひここに収録の10分超えヴァージョンで。 *出嶌
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トーマス兄弟を中心に結成されたヴォーカル・グループの83+84年作を2in1で収録したもの。いずれもザップ家族が完全バックアップしており、5人組での前者は明朗なスロウの様式美も交えて快く聴かせる。減員して個々が演奏にも取り組んだ後者のバンド感もいい。なお、バート・トーマスはザップ加入を経て、シュア2Bの名でビッグ・ロブの片腕として活躍中。 *出嶌
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ザップの3作目。ビリー・ベックが制作に名を連ねた本作は、前半にザップ流ファンク、後半にバラードやフュージョン風の曲を配した構成で、人脈/サウンド共にオハイオ・ファンクの層の分厚さを再認識させる。粘っこくヘヴィーな“Heartbreaker”、Pファンク一派のレイ・デイヴィスが低音ヴォイスを挿む“I Can Make You Dance”の躍動感は破竹の勢い。 *林
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熱気溢れる歌声も含めて、その存在はJB軍団におけるボビー・バードの如し。旧ヒューマン・ボディ時代から一派に属していたヴォーカリストの初ソロ作は、ロジャー以下ザップ軍団の全面援護となるが、オーセンティックなソウル・シンガーとしての魅力を活かした内容に。メイシオ・パーカーのサックスが軽やかに舞う“Your Spell”のようなミッドが極上だ。 *林
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当時のヒップホップやエレクトロを肉弾で再現したノリの“In The Mix”、小粋でジャジーな“Play Your Guitar, Brother Roger”など、ロボット感と人間味の融和が楽しい2作目。前作に続く名曲蘇生コーナーはウィルソン・ピケット“In The Midnight Hour”を、ゴスペル隊のマイティ・クラウズ・オブ・ジョイと披露している。シャーリー・マードックも初参加。 *出嶌
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ロジャーがザップ以前に組んでいた同名グループとは別の3人組だが、こちらもロジャーの制作だ。ベアズヴィルから籍を移しての第2弾は、レイ・デイヴィス、ラリー・ハッチャー、デイル・デグロートの体制で、スペイシーなファンクやニューウェイヴ~エレクトロ調の曲を披露。どこか艶かしい歌声も含めてプリンス風のアプローチが目立つ意欲作だ。 *林