漂流を続けるサム・シェパードの、華麗なる点と点

 プロジェクト名に引っ掛けて言うわけではないが、フローティング・ポインツを中心とするサム・シェパードのディスコグラフィーはなかなかCDだけでは一望しづらく、散らばった点でしか紹介できないのが残念なところ。主宰するエグロ以外の初期音源では、ジャイルズ・ピーターソンにピックされた“Peroration V”(2009年)がブラウンズウッドのコンピで聴けるし、プラネット・ミューから発表した彼にしてはスウィンギンなのが興味深い“J&W Beat”(2009年)も同レーベルのコンピ『14 Tracks From Planet Mu』に収録されている。同時期のトラックだとR2に残した“Love Me Like This”(2009年)は……各自どこかでチェックしていただこう。また、アンサンブル名義のシングル曲はニンジャ・チューンのコンピ『Ninja Tune XX Vol. 2』にて無事にピックされている。それ以外はほぼエグロからのリリースで、現時点で唯一のレーベル・コンピとなる『Eglo Records Vol.1』では、ファースト・シングル“Radiality”や『Shadows EP』所収の“Myrtle Avenue”など8曲がひとまずCD化されている。このあたりは当然マストだろう。

『Brownswood Bubblers Four』収録曲“Peroration V”

 

『Eglo Records Vol.1』収録曲“Radiality”

 

 で、その“Myrtle Avenue”などにフィーチャーされているスウェーデン出身のシンガー=ファティマもエグロには欠かせない人で、彼女の傑作『Yellow Memories』では当然サムもプロデュースやミックスに尽力していた。裏方仕事では、ジャイルズ・ピーターソンのブラジル音楽プロジェクト=ソンゼイラのアルバム『Brasil Bam Bam』にて2BO4ロブ・ギャラガー)やカシンと並んで共同プロデューサーに抜擢されていたのも記憶に新しいだろう。その他リミキサー仕事では、ボノボセバスチャン・テリエベースメント・ジャックスあたりの音源は容易に入手できるはずだ。 

ファティマの2014年作『Yellow Memories』収録曲“Biggest Joke Of All”

 

ソンゼイラの2014年作『Brasil Bam Bam』トレイラ―