コラム

新星ハーピスト・中村愛、日本の作曲家に特化してハープ音楽の歴史総括した異色作『風と愛 日本のハープ音楽80年』を語る

(C)Ryusei KOJIMA
 

 日本のハープ80年の歴史を奏でる新星!

 ハープという楽器は、身近とは言い難い。しかし、新進気鋭の中村愛によるアルバム『風と愛 日本のハープ音楽80年』は、音楽好きが注目するきっかけになるかもしれない。日本の作曲家に特化し、日本におけるハープ音楽の歴史を総括するという異色作だ。

中村愛 風と愛~日本のハープ音楽80年 たまゆら(2016)

 中村愛は、音大出身の母親の影響で4歳からピアノを学んでいたが、小学校6年生の時にサマー・スクールでハープと出会って習い始めたという。以来、ハープ一筋で音大まで進み、精力的に演奏活動を行っていく。しかし、ハープという楽器のハードルを、もう少し下げられないかと常に考えあぐねていた。

 「クラシックの硬い作品ではなく、日本人の親しみやすい楽曲を集めてみたいと思っていたら、偶然にもレコード会社と意見が合致したんです。でも、楽譜が失われていたりして、曲を集めるのに苦労しました」

 そして、出来上がった作品は、なかなかユニークな選曲になっている。日本最古のハープ作品といわれる石田一郎《Idylle(牧歌)》から、『ウルトラセブン』でおなじみの冬木透がアレンジを手がけた童謡曲、そして伊福部昭の『ビルマの竪琴』や『ゴジラ対モスラ』、早坂文雄の『雨月物語』といった名作映画のサウンドトラックまで、バラエティ豊かだ。

 「どれも日本風に作曲されているんですが、それぞれ表現方法が違っていて面白い。あと、伊福部先生の未発表曲を見つけていただいたのも嬉しかったです」

 古い楽曲だけでなく、平田智暁江原大介薮田翔一という若手作曲家に委嘱し、メロディアスな楽曲を終盤に集めているのも、本作の重要な部分だ。

 「一般的に、現代のハープ音楽って無調が多くて難解なんですよ。だからポップス寄りのイメージでお願いしました。こういう楽曲が増えるとハープを弾く人も増えてくれるんじゃないかなって思うんです」

 ハープというときらびやかでドリーミーな印象があるかもしれないが、この作品でははっきりと粒の立ったプレイでメロディがグイグイと前に出ており、ソロ演奏でありながらずっしりした存在感がある。

 「ハープは直接指で触れる楽器なので、演奏者の性格がそのまま音に出るんですよ。私は我が強いのでそういう音になるんだろうなって思いますね」

 また、演奏や楽曲だけでなく、自身で書いたライナーノーツの充実ぶりにも圧倒される。日本のハープ史の最良の教科書といってもいいくらいだ。

 「調べるのや書くことも好きなんですよ。音楽をやってなかったら、学者になっていたかも。でも、クラシックだけでなく、ロックも全然聴くんですよ。ブリトニー・スピアーズも大好きですから(笑)」

 


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