ロット熊戦記の第三回です。
大変長らくお待たせしました。

バンドは無事『ATOM』リリース・ツアーを終えました。
ツアーで会えた全国の皆さんありがとうございます。いずれもが特別な日になりました。

ツアー・ファイナル終了後も早々にバンドは色々と動き回って。

教会で演奏したり。

〈SLOW DAYS〉に呼んでもらったり。

サンフジンズのサポート・アクトをしたり。

鹿児島〈WALK INN FES〉。

桜島の噴火を見れた。

くるりLOSTAGEにも刺激をもらいました。

やっときたボン・イヴェール(Bon Iver)。

来襲ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラー(Godspeed You! Black Emperor)。

オフの日は一緒に鎌倉でチルアウト。

デラドゥーリアン(Deradoorian)のサポート・アクトでもとても良い時間がすごせました。この日にプリンスの訃報が。エンジェル(・デラドゥーリアン)と僕はど凹みしながらのライブでしたが、お互いエモーショナルでとても感慨深い夜に。

トゥイーディ(Tweedy)。ウィルコ(Wilco)もフジロックにまた来てくれるのはとても嬉しい。

カリフォルニアのマイ・ハワイ(My Hawaii)とのツアーも素晴らしい経験でした。

何よりみんな日本にとてもリスペクトを持ってくれていて、接してて少し気恥ずかしくなるような。先人が積み上げた日本人のなんたるかに少し触れたような気がします。

さて、第三回はエドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズ(Edward Sharpe & The Magnetic Zeros)です。髭ミュージシャンの記事を今回はなんとか避けようとしていたのですが、結局また髭の話になってしまいました。マイ・ハワイの鹿野洋平さんとロサンゼルスの話になり、地元が一緒なのでひらめいてしまいました。お許しを。

2007年にカリフォルニア/ロサンゼルスで結成され、現代に現れたヒッピー・ムーヴメントの亡霊ような(いやヒッピーはいまでも逞ましく生き続けていますね)アレックス・エバート(Alex Ebert) 率いる大所帯バンドです。

ラフ・トレード(Rough Trade) からリリースしたファースト・アルバム『Up From Below』(2009年)でデビューした彼らは、“Home”という曲で人気者になります。

エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズの2009年作『Up From Below』収録曲“Home”
 

モジャモジャなアレックスと、まるで昔のフランス映画(「太陽がいっぱい」とか)から飛び出してきたような女性シンガーのジェイド・カストリノス(Jade Castrinos)の2人がとても良い掛け合いを見せます。

エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズの2012年作『Here!』収録曲“I Don't Wanna Pray”
 

アレックスのガラガラした声とジェイドのソウルフルな歌声、そして彼ら縦横無尽なシンガーを支えるタフなアンサンブルがこのバンドの魅力です。音源も良いけどライブで体験したい! そう思わせてくれるのは、ミュージシャンとしてとても素晴らしいことだと思います。

次に僕が彼らと出会ったのは2012年に見たとある映画でした。「ビッグ・イージー・エクスプレス(Big Easy Express)」というタイトルで、当時は iTunesのストリーミングでリリースされていたのです。彼らがマムフォード&サンズ(Mumford & Sons)、オールド・クロウ・メディスン・ショウ(Old Crow Medicine Show)と一緒に鉄道を貸し切って町から町へと全米6都市を回る〈Railroad Revival Tour〉の模様を収録したドキュメンタリーです。

この記事を書くにあたって調べたら、2014年に日本で上映されていてびっくり。

このアメリカ音楽の(1つはイギリスのバンドですが)スケール感と音楽的地層の深さにはいつも驚かされます。日本でやると「銀河鉄道999」のSL企画みたいな感じでできそうですね。

アレックスの祖父はオペラの役者やディレクターをしていたカール・エバート(Carl Ebert)さん。戦前にドイツでオペラのディレクションをしていましたが、ナチスとの反りが合わず彼はドイツを去ります。

カール・エバートが監督した「ドン・ジョバンニ」
 

祖父がそうだったからと言うのはとてもナンセンスですが、アレックスの音楽はどこか演劇的でステージ全体を見せてゆくようなスケール感があります。彼は2016年には本来いるはずのない、古いおとぎ話に出てくる道化のように振る舞いますが、懐古主義的な目線でなく、現代っ子特有の頭の良い感じで世界を見つめながら音楽をやるしたたかさを持ち合わせているように見えます。さて、本当のところはどうなのでしょう?

エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズの2013年作『Edward Sharpe And The Magnetic Zeros』収録曲“If I Were Free”のパフォーマンス映像
 

2013年にはアレックス・エバート名義で映画「オール・イズ・ロスト~最後の手紙~」のサウンドトラックを作曲/プロデュースしています。

2013年の映画「オール・イズ・ロスト~最後の手紙~」のアレックス・エバートが手掛けたサントラ収録曲“Amen”
 

残念ながら現在はバンドからジェイドが脱退してしまいましたが。彼女はジェイド・カストリノス&ファーザー(Jade Castrinos & Father)(本当に父なのか?)で活動したりしているみたいです。

ジェイド・カストリノス&ファーザーのライヴ映像
 

金曜日の夜にみんなでお酒飲みながら観たい(筆者は下戸ですが)。

去年、カナダでエドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズの現在の編成でのライブを観ましたが、お客さんが本当に楽しそうでした。開演前から彼らの話で持ちきりで、日本だったらありえないくらい若い子も大人も楽しんでいて。その日は車椅子の少年をお神輿のようにステージに上げての演奏でものすごいエネルギーだった。

いままで日本版にローカライズされた音源はリリースされていなかったのですが、最新作のフォース・アルバム『PersonA』(2016年)はついに日本盤でリリースされました。

きになる方は要チェック。

エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズの2016年作『PersonA』収録曲“No Love Like Yours”
 

来日公演を楽しみに待つとしましょう。

さて、僕らのバンドはアジア・ツアーで、中国、モンゴル、台湾へ。
ツアー乗り越え夏に皆さんに会えるのを楽しみにしております。

次回のアジア熊戦記もどうぞお楽しみに。

 

ROTH BART BARON - ASIA TOUR -
6月18日(土)中国・上海Onstage
6月19日(日)中国・北京摩登天空Modernsky
6月26日(日)モンゴル・Gachuurt village〈Playtime Festival〉
6月28日(火)台湾・華山Legacy〈レディオ・デプトThe Radio Dept.) Live in Taipei 2016〉

ROTH BART BARON × chikyunokiki Split Tour 2016 Hokkaido
7月1日(金) 苫小牧ELLCUBE
7月2日(土) 旭川Mosquito
7月3日(日) 帯広REST
7月5日(火) 札幌SOUND CRUE

7月9日(土)鎌倉音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2016〈音BEACH 2016〉
7月16日(土)新宿MARZ〈sleepy.ab x ROTH BART BARON〉
7月17日(日)つくばねオートキャンプ場〈GFB`16(つくばロックフェス)〉
7月22日(金)長野苗場スキー場〈FUJI ROCK FESTIVAL ’16〉
7月30日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE〈初恋の嵐 THE SOFT PARADE〉
8月27日(日)京都nano〈ナノボロフェスタ〉
8月28日(月)岩国ROCKCOUNTRY
9月4日(日)梅田シャングリラ〈CLUB SNOOZER presents ROTH BART BARON × Turntable Films “I will comply”〉
9月10日(土) 渋谷TSUTAYA O-EAST / O-WEST / O-nest / O-Crest〈New Audiogram 10th Anniversary〉