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連載

ROTH BART BARON三船雅也が綴る〈レディオヘッド(Radiohead)『Kid A Mnesia』と私〉

【レディオヘッド『Kid A Mnesia』と私】

Photo by John Spinks

ロック、いや、ポップミュージックの在り方すら変えてしまったかもしれない、レディオヘッドの金字塔的傑作にして壮大な実験作『Kid A』(2000年)と『Amnesiac』(2001年)。リリースから20年が経った2021年、双子の関係にある両作がひとつの作品になり、未発表曲などを多数加えた『Kid A Mnesia』としてよみがえった。これを記念して、Mikikiはアーティストや表現者たちに依頼をし、〈レディオヘッド『Kid A Mnesia』と私〉というテーマで2作についての思いを綴ってもらった。それぞれの『Kid A Mnesia』観を楽しんでいただければと思う。 *Mikiki編集部

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RADIOHEAD 『Kid A Mnesia』 XL/BEAT(2021)

レディオヘッド『Kid A Mnesia』と三船雅也(ROTH BART BARON)

『Kid A Mnesia』に寄せて

人が人に憧れてコンプレックスを抱き、それになろうと近づこうとするけれど、結果全然違うものが生み出される。そんな作品が僕はとても好きだ。

ジョン・レノンはボブ・ディランに憧れて、彼の音楽とは似ても似つかない“You’ve Got To Hide Your Love Away”を書いた。そんなボブ・ディランはロックバンドになろうとし、うまくいったりいかなかったり、ガシャガシャした音を鳴らした。彼には〈バンド〉と言う感覚があまりないからだ。そんな本人の想像力とは全然違う方向に行ってしまうガチャガチャなサウンドが僕は大好きだ。

『OK Computer』の大成功の後(大きな成功を得たという事は多くの人の目にさらされ批判され、彼らの心はパンクしたと言う事だ)、彼らはロックバンドのアイデンティティーを捨て(いや、そもそもロックバンドのアイデンティティーなんて最初からないのかもしれない)、向き合ったのはかつて慣れ親しんだ80年代のロックミュージックではなく、イギリスの裏側で大爆発を起こしていたエレクトロニックミュージックだった。ボーズ・オブ・カナダ、エイフェックス・ツイン、オウテカや70年代の初期エレクトロニックミュージック、ジャズ、現代音楽を浴びるように聴き込み、ポップミュージックを乗り越え、自分ではない何者かになろうとした。そして全然なりきれず、不安定な形のまま、また新しい形を生み出した。

この2枚の作品にはバンドの分解と再構築の瞬間がたくさん収められている。未完成で、荒削りで、バラバラで弱く、繊細で、恥ずかしくて、10代のような、自分の体を飛び出して自分の殻を破り、また楽しく柔らかい体でもう一度生まれるような。ある人が聴くと、暗く恐ろしいと言う。でも考えてみてくれ、もしこのアルバムが生み出されず、彼らが前回のヒットに味をしめ、同じようなアルバムをまた作り、今一番売れているアーティストとコラボシングルを出してTVショーで踊りまくっていたとしたら、その未来の方がよっぽど悪夢じゃないか?

ぼくは10代半ばにこの作品に会えてよかったと思う。真冬のプラットホーム、青白い蛍光灯、蒸気で曇る窓。行き先のわからない10代の時に〈Come on kid.〉と今の世界へ導いてくれたのは間違いなくこのガチャガチャとした音楽たちだった。

止まるな、変わり続けろ、このアルバムのように。

ROTH BART BARON・三船雅也

 


PROFILE: 三船雅也(ROTH BART BARON)
ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)は、シンガーソングライターの三船雅也が2008年に結成した日本のインディーフォークバンド。これまでに4作のEP、5作のオリジナルアルバムを発表。国内外の大型フェスにも出演。4作目のアルバム『けものたちの名前』は、ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文が設立した〈Apple Vinegar Music Award〉で大賞を受賞。5作目のアルバム『極彩色の祝祭』収録のリード曲“極彩|IGL(S)”は、テレビ朝日系の番組「関ジャム∞完全燃SHOW」にて音楽プロデューサー・蔦谷好位置の年間1位に選出された。2021年12月1日(水)には4年連続でのリリース作となる6作目のアルバム『無限のHAKU』をリリース、また全国ツアーを開催する。

​オフィシャルサイト:https://www.rothbartbaron.com/
Instagram:https://www.instagram.com/rothbartbaron/
Twitter:https://twitter.com/ROTHBARTBARON
Facebook:https://www.facebook.com/rothbartbaron/
YouTube:https://www.youtube.com/user/madonnna1046

 


RELEASE INFORMATION

RADIOHEAD 『Kid A Mnesia』 XL/BEAT(2021)

リリース日:2021年11月5日
配信リンク:https://radiohead.ffm.to/kid-a-mnesia

■国内盤3CD
品番:XL1166CDJP
価格:3,850円(税込)
国内盤特典:歌詞対訳・解説付/ボーナストラック5曲収録
高音質UHQCD仕様

■輸入盤3CD
品番:XL1166CD
価格:3,190円(税込)

■限定盤3LP(レッドヴァイナル)
品番:XL1166LPE
価格:7,690円(税込)

■通常盤3LP(ブラックヴァイナル)
品番:XL1166LP
価格:7,690円(税込)

■日本盤3CD+Tシャツ
品番:XL1166CDJPT1
価格:8,250円(税込)
サイズ:S-XL

■限定レッドヴァイナル+Tシャツ
品番:XL1166LPET1
価格:12,090円(税込)
サイズ:S-XL

TRACKLIST
Disc 1 - Kid A
1. Everything In Its Right Place
2. Kid A
3. The National Anthem
4. How To Disappear Completely
5. Treefingers
6. Optimistic
7. In Limbo
8. Idioteque
9. Morning Bell
10. Motion Picture Soundtrack

Disc 2 - Amnesiac
1. Packt Like Sardines In A Crushd Tin Box
2. Pyramid Song
3. Pulk/Pull Revolving Doors
4. You And Whose Army?
5. I Might Be Wrong
6. Knives Out
7. Morning Bell/Amnesiac
8. Dollars And Cents
9. Hunting Bears
10. Like Spinning Plates
11. Life In A Glasshouse

Disc 3 - Kid Amnesiae + b-sides
1. Like Spinning Plates (‘Why Us?’ Version)
2. Untitled v1
3. Fog (Again Again Version)
4. If You Say The Word
5. Follow Me Around
6. Pulk/Pull (True Love Waits Version)
7. Untitled v2
8. The Morning Bell (In The Dark Version)
9. Pyramid Strings
10. Alt. Fast Track
11. Untitled v3
12. How To Disappear Into Strings
13. Kinetic *
14. Fast-Track *
15. Cuttooth *
16. The Amazing Sounds Of Orgy *
17. Trans-Atlantic Drawl *
*日本盤ボーナストラック

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