伝説のレコードショップ〈パイドパイパーハウス〉が渋谷店に期間限定で復活!

 1989年まで東京・南青山に存在したレコードショップ、パイドパイパーハウス。輸入盤のロック/ポップを主軸に、古のラグタイムから最新のニューウェイヴ、そして一部の国内アーティストまで、独自の審美眼によってセレクトされた品揃えによって、多くの音楽ファンから愛された比類なき名店。そんなパイドの魅力とはひとえに、77年からオーナーを務めた長門芳郎の魅力そのものだといっても過言ではない。

VARIOUS ARISTS ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ ソニー(2016)

 70年代初期から幾多のコンサートやレコード制作に携わりつつ、シュガーベイブティンパン・アレイのマネージャーも務めてきた長門の豊潤な音楽知識と探究心は、そのままパイドのラックへと色濃く反映されていた。また彼の温厚な人柄に惹かれて運命の糸のように繋がってはたびたび店を訪れた、内外のミュージシャンや業界人たち。ゆえにパイドはある種音楽愛好家たちの梁山泊めいた様相を呈していたという。長門の歩み自体が日本ポップス史の重要な一頁でもあるのだが、そのマジカルな音色に彩られた半生はこのたび上梓された著作「パイドパイパー・デイズ 私的音楽回想録 1972-1989」に詳しいので、ご一読願いたい。

長門芳郎 パイドパイパー・デイズ 私的音楽回想録 1972-1989 リットーミュージック(2016)

 そんな伝説のショップが期間限定で渋谷店5Fの一角に復活オープンを果たした。随所に散りばめられた当時の装飾品やメモラビリアは、往年の店舗を知る人には感慨深いだろうし、「Greenwich Village」や「Jazz Troubadour」など一風変ったジャンルで仕切られた棚にもかつてのパイドらしさが横溢している。とはいえ「Next Generation」コーナーには若手アーティストたちの作品がズラリと並んで、“ノスタルジーだけではない、過去から今に繋がる店”という長門店長が掲げたコンセプトがしっかりと具現化されている。

 そして何といっても嬉しいのが、週3、4日は店長自らが売り場に立っていることだろう。加えて、今後も関連イヴェントが続々と開催予定で、新たなサプライズも控えている模様。ぜひこの機会に新生パイドパイパーハウスに足を運んで頂きたい。

 


INFORMATION

PIED PIPER HOUSE in TOWER RECORDS SHIBUYA
期間 :2016年7月15日(金)より約半年間(予定)
場所 :タワーレコード渋谷店5F
○9/9  (金)19:30開演 MIKKO トークショー&ミニライヴ
○9/16(金)20:00開演 1983 トークショー&ミニライヴ
○9/24(土)19:00開演 橋本徹 トークショー
towershibuya.jp