古楽演奏の第一人者にしてバロック・チェロの大家であるビルスマが、親しみやすい語り口でこれまでの歩みを振り返りつつ、たくさんの“大切なこと”を我々に伝えてくれる一冊。テーマは多岐にわたっており、現代の音楽家に対する若干の警鐘も含まれている。レオンハルトやブリュッヘンらとの思い出ももちろん興味深いが、カウンターカルチャーとしての古楽の考え方や「語る演奏」の重要性など、古楽関係者以外にとっても示唆に富む内容が多い。バッハの《無伴奏チェロ組曲》に関する章の充実度はこれだけで一冊の本になりそうなほど。最終章のボッケリーニ讃も実にビルスマらしい。未発表音源CD付き。