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フランスの神童姉妹による、演奏する喜び溢れるデビュー・デュオ・アルバム

 フランス2の『Prodiges』──神童といった意味のタイトル通り、7~16歳を対象とした歌、器楽演奏、バレエ混合のオーディション風コンテスト番組だが、そこで2014年に優勝したのがカミーユ・ベルトレ(1999年生)。その記念として翌年にファースト・アルバムがリリースされたが、その際にも共演した姉のジュリーとのデュオを前面に打ち出したのがこの『カミーユ&ジュリー』である。

CAMILLE BERTHOLLET,JULIE BERTHOLLET Camille & Julie Berthollet Warner Classics(2017)

 例えばユリア・フィッシャーがヴァイオリンだけでなくピアノもソリストとして活動しているように、カミーユはチェロをメインにヴァイオリンもこなす才媛。チェロは4歳から始めフランソワ・ギュイエ、ゲイリー・ホフマンに師事、ヴァイオリンは8歳からで、ともにコンクール入賞歴もある。昨年には下野竜也ともモーツァルトのヴァイオリン協奏曲をカンヌで共演していた。ドヴォルジャークの《ロンド》やチャイコフスキー《感傷的なワルツ》などでのスムーズな流れからは、彼女のテクニックが確かに優れていることが伝わってくる。より深々とした音がほしくなる瞬間はあるものの、時折頭をもたげる情熱的な表現は、本格的な作品をどう演奏するのかにも興味を持たせる。一方のジュリーもヴァイオリンはオレグ門下で、ピアノやアレンジもこなす。いささかおとなしめにも感じられるが、ピッチはよく清潔な音で好感度は高い。いずれにせよ、彼女たちのように複数の楽器を駆使して音楽を楽しむ才能はこれからもっと増えてゆくのだろう。

 なお、ピアノのギヨーム・ヴァンサンも前作に引き続き参加し、2人をよく立てながら、雰囲気のある巧みなサポートぶりを発揮。その他にもゲストにマヌーシュ・ジャズのトマ・デュトロンがフィーチャーされ、短い共演ながら楽しいアクセントを聴かせている。

 今後、2人がこの路線でゆくのか、それともいわゆるクラシックの道にそれぞれ進んでゆくのか未知数だが、まずは豊かな才能の登場を喜びたい。