あの空に瞬くのは過去ではなく未来――2017年もBiSHはやってくれる! 見上げた星に誓う6人の約束は、次なる革命への狼煙となる美しき号砲だ!
セントチヒロ・チッチ「もともとBiSHの現場はアイドル好きの人もバンド好きの人も多くて、年齢層もバラバラだったんですけど、“オーケストラ”はもっと別のところにいるような人が、ふと耳にして〈何これ、いい曲かも〉って知ってくれる人も多かったと思うんですね。バンドマンの人たちが聴いて評価してくれることも多かったですし、そこから大人のお客さんが増えたなって気がします」
モモコグミカンパニー「チッチのいう大人の人もそうだけど、私は若い人が多くなったなって思う。アユニが入った効果もあるだろうし、ラジオをやってても、高校生とか10代の子たちからの反応が増えてるのを実感しますね」
メジャー・デビューから1年足らず。当人たちも一口には把握しきれないほど、BiSHの認知/人気の広がりは確かなものになっています。実際にライヴ会場で感じるのは男女問わず元気な若者たちの熱気ですが、現場だけでは見えない支持の厚さが、彼女たちの躍進を支えているのは言うまでもないでしょう。
ちょうど1年前、昨年3月のBiSHといえば、品川ステラボールでのワンマンを即完でやり抜いた頃。当時がまだメジャー・デビュー前だったことを思えば、この1年での加速度的な飛躍は振り返るまでもありません。10月には大傑作『KiLLER BiSH』を発表し、日比谷野外大音楽堂でのワンマンでひとつの絶頂に達した彼女たちですが、そこがピークじゃなかったのは衆知の通り。むしろ野音の成果がさらなる評判を引き起こし、著名人やミュージシャンたちの高評価も得ることに。その原動力となったのは言わずもがな、アルバムから生まれた文句ナシの名曲“オーケストラ”でした。
チッチ「ストリングスの入ったアレンジとか、メロディアスな感じだとか、万人受け……っていったら言い方がアレですけど、いままで以上にいろんな人に響くような曲になったなと思っていて。MVでも他の女優さん、モデルさんに出ていただいたり、それまでのBiSHとは違って、きれいな……」
モモコ「きれいな方を入口に(笑)」
チッチ「そういうのがいろいろ重なって、好きになってくれる人が多かったのかなって。これからのBiSHを示すような曲になったなと思っています」
昨年12月にはアイナ・ジ・エンドの声帯結節手術という心配な出来事もあったものの、鬼気迫るフリーライヴ〈iN THE END〉で結束と風格をアピール。手術の成功を受け、新年からは〈BiSH NEVERMiND TOUR〉を敢行してきました。過去最大キャパを満員御礼で走り抜けたこのツアーは、サウンド・プロデューサーの松隈ケンタ率いる〈鬼バンド〉を従えた初のバンド・セットで臨んだもので、19日にはZepp Tokyoでのファイナルを迎えたばかり。そして……そこからさらに広い地平へ打って出るべく放たれたのが、ニュー・シングルの“プロミスザスター”です。
モモコ「“オーケストラ”の良さも引き継ぎながら、いまのBiSHらしさが出てる曲かな」
チッチ「後ろを振り返るんじゃなくて前向き。いまのBiSHにピッタリだし、少なからず私たちを重ねて書かれた部分はあると思います。だから気持ちを乗せやすいし、きっといま何かをがんばってる人なら、聴いて重なる部分もあるんじゃないかなって」
アユニ・D「『KiLLER BiSH』のレコーディングは緊張もしてて、どうやって歌えばいいのかっていう知識も全然なかったし、だから、ただただ歌ってたみたいな感じだったんですけど。今回はちゃんと歌詞の意味とかも考えながら歌えました」
アイナ・ジ・エンド「BiSHって、汚物をかけられるPVだったり、24時間イヴェントをやったり、っていう話題で注目されてたと思うんですけど、“オーケストラ”は〈いい曲〉っていうことで評価していただいた気がしたんです。そういう意味で“プロミスザスター”は、またいい評価で“オーケストラ”を超えたいなって思って、めっちゃ歌い込んでレコーディングに臨みました。自分的にはもう一回、変な話題性じゃなくて、シンプルに〈いい曲だ〉って言われて広まりたいです。そういう意味を込めて振付けも新しいニュアンスを加えてたりします」
今回もアイナが手掛けた振付けは明快にしてドラマティック。なかでも鮮烈なのは、指を噛み切って血で星を描く動作でしょう。BiSHと〈星〉は切っても切り離せない間柄ではありますが、各々が描く五芒星は他のメンバー5人への約束のようでもあって、楽曲の備えたエモーションを倍加させるかのようです。
アイナ「〈いまのBiSHで行くぞ!〉っていう生き様っていうか、がむしゃら感を出したくて血を流してるんです。歌詞の〈あの空を染めてけ〉っていうところに重ねて、血で空を染めるイメージなんですけど、その〈あの空〉が“オーケストラ”の歌詞にも出てくるので、そうやって〈あの空=オーケストラを超えてけ〉っていう気持ちで作りました。サビはモモコやハシヤスメも案を出してくれて、みんなで決めたんですけど、それ以外のパートは歌ってる人に焦点を合わせやすいフリにしつつ、後ろでストーリーを組んで、みたいに、ひとりひとりが主役になる構成にしています。どの場面を切り取ってみても、いろんなストーリーを考えられるようにしてるんで、けっこうおもしろいかなと思ってますね」
いわゆる〈オーケストラ新規〉の琴線にも触れまくる表題曲に対し、導入のギター・リフからかっこいいカップリングの“Help!!”は、デビュー時から磨いてきた飄々とパンキッシュなBiSHマナーの最新型といった雰囲気。念仏のようなメロと血まみれのシャウトが印象的なこちらは、リンリンとアイナが作詞を担当しています。
リンリン「曲を聴いた時に、なんか男の子が走ってるイメージだったんです。その子は小さいときから親の言いなりで英才教育みたいなのを受けてて、それが自分のやりたいことと違うことに気付いて、自分の行きたい人生からは外れちゃってるけど、でも後には戻れない……みたいな曲です」
アイナ「リンリンが書いたのは1番と2番のサビで、私の書いた部分は、それを書いてる頃になんか人を信じられなくなる出来事があったんですよ。でも、その人の考えや言い分も受け入れないと成長しやんと思ったから、それを受け入れよう、悟りを開こうと思って、〈ブッダになりたい〉というテーマで書いたんです。説明しないと何のことかわからない内容ですけど(笑)、結果、リンリンの歌詞とよく合ってる気がします」
チッチ「これは盛り上がりやすい曲なのかなって。発表した初日に、2番のサビぐらいからもうコールが入るようになったよね」
ハシヤスメ・アツコ「盛り上がれるようにアイナが振りを作ってくれてるのもあるし」
チッチ「うん、ライヴハウスとかでやったらもっと盛り上がれる曲だと思います」
4月からは休みなく〈BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED〉と題した次のツアーもスタート。全国20箇所をくまなく回った後、7月22日にはツアー・ファイナルとして、幕張メッセイベントホールでの〈BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED FiNAL "REVOLUTiONS"〉開催も発表されたばかりです。星が瞬く夜に無我夢中で駆け出した彼女たちが、手の届かない星になる日はもうすぐそこまで来ているのかもしれません。
アイナ「いままでとはケタが違いすぎて……野音の前もそうだったんですけど、近々になんないと現実味が湧かないっていうのが正直なところで、いまの段階では〈やるしかない〉って感想です。“プロミスザスター”で売れまくるしかない(笑)!っていう感じ」
チッチ「その前にはツアーもあるからね」
ハシヤスメ「全国を回るので、その土地の方々に、7月22日は遠征してでもBiSHを観たいな~って思ってもらえるようにしたいです」
モモコ「全国から集まってもらって」
ハシヤスメ「そう、みんなが集結して、夏は祭り……BiSH最大規模の祭りにしたいなと思ってます!」
BiSHのメジャー作品。