エンリコ・ピアラヌンティ、日本のジャズピアノ・ファンに多くの支持者を抱えるイタリア・ジャズ界の大御所で今や多くの追随者がいる。カルタゴもその一人に数えていいだろう。アルバムタイトル曲は、まさにエンリコが創り出した“アドリブの第二テーマメロディ化”という、印象的な演奏だ。アドリブの出来が作品の評価を決める時代、集団即興演奏といったバンド内部の成立の仕方を表現とする時代を経て、アドリブ=第二テーマという図式のジャズが80年代に人気を博した。本作は構築されていく第二メロディがさらに第三メロディを喚起していく。そんなジャズの変遷が集約された。