アルバムを〈作品〉以上の〈商材〉として久しいジェイZだが、引退や復帰といった状況の変化から傑作を生んできた人だけに、妻への謝罪や家族愛など私的なテーマを創作の原動力とした今作の完成度が、やることのなさそうだった近作に比べてズバ抜けているのは明らか。ノーIDが全編を温かくソウルフルに仕立て、マンブル・ラップ勢をチクリと刺すオヤジ感も微笑ましい。CDのみジェイムズ・ブレイク参加曲など3曲をボーナス収録。