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亡き父に捧げた“WITH LOVE IN MY HEART 〜君と共に〜”

――それもあって流れるような展開になっているんですね。そして新ミニ作『WITH LOVE IN MY HEART』ですが、タイトル曲の“WITH LOVE IN MY HEART ~君と共に~”は、前作に収録されていた“Romance”の続編にあたる楽曲になっていますが、なぜそういった楽曲を作ろうと思ったんですか?

MAHATMA 『WITH LOVE IN MY HEART』 Walkure(2017)

『WITH LOVE IN MY HEART』トレーラー

Hideki「自分の父の話になるんですけども、僕ら兄弟は幼い頃に母が亡くなって、父が片親で育ててくれて。父からは〈自分の好きなことはやれ〉と言われていたんですが、自分もTsubasaも、あまり父の苦労を知らずにやってきたと思うんですね。

それで、“Romance”を作る時にちょうど父親が退職したんですけど、自分たちも大人になって、退職を記念するわけじゃないけど親父には感謝しなきゃいけないなということで、作った曲なんです。

結局、父と母がいい恋愛をしてくれて自分たちが生まれたわけだから、僕らもいい恋愛をして、次に繋げていこうという意味を込めて〈Romance〉というタイトルにしていたんですが、曲を制作している間に、父が急死してしまったんです」

――そうでしたか……。

Hideki「自分たちとしても直接父に聴かせたかったんですけど。それで“Romance”をリリースしたものの、自分の中でどうしても腑に落ちなかったんですよね。

だから、こうなったらちゃんとした追悼曲を作ろうと。『WITH LOVE IN MY HEART』というタイトルも、ショパンの“別れの曲”を英語ではこう表現することを知ってつけたんです。

ただ、前作を制作してから本当にずっと曲を作り続けていたので、結果1年かかってしまいましたが。悩み続けて、ひたすらボツを積み重ねていって」

2016年作『Orchestra of the Life』収録曲“Romance”

『WITH LOVE IN MY HEART』収録曲“WITH LOVE IN MY HEART 〜君と共に〜”

――どの部分で悩んだんですか?

Hideki「サビですね。そこが決まれば、物語でいうところの結末が見えてくる感じがあるんですよ。でも、そこがなかなか出てこなくて苦労しました」

――ただ、別れがテーマではありますけど、歌詞にはこの先も歩いていくことを綴られていて。

Hideki「そうですね。死んでしまって哀しいという曲を作っても、父は喜ばないと思うので。父は僕らが音楽をしていることをずっと応援し続けてくれていたので、その音楽を伝え続けていこうという気持ちを根底にして作りました」

NaNa「2人のお父様のことはよく知っていましたし、この曲は絶対に手を抜けないというか、その気持ちをしっかり歌に乗せなきゃいけないなという使命感やプレッシャーはありましたね。

Hidekiのデモは毎回完成度がすごく高くて、ヴォーカルのメロディーがフルートの音色で打ち込まれているんですけど、その音色が夢に出てきて、夢の中でも練習しているぐらいの感じになるまで(笑)、どういう感情を表現してほしいのか考えながら、ひたすらデモを聴き込んでいました」

――途中には長尺のギター・ソロやドラム・ソロも組み込まれていますが、お父様への想いを曲にしたら〈自然とこの長さになってしまった〉という感じだったんでしょうか。

Hideki「確かにそうなってしまいましたね(笑)。ドラム・ソロは、自分の感情のうねりや荒ぶりを表現しているんですよ。自分が好きな〈ストーリー〉は、一本調子で幸せなものではなく、抑揚のあるものなんです。だから、あのドラムは壮絶なものがあると思うんですけど」

――もう、かなり凄まじいです。

Hideki「ハハハハ(笑)。自分としても、むき出しの感情というんですかね。自分の中から出てくる良いものも悪いものも、全部関係なしにひっちゃかめっちゃか出してしまっている感じですね」