I GOT THE ZOO ON
~50セントを知るための6枚~

コインが転がって始まるオープニングの“What Up Gangsta”から名曲のつるべ打ち状態。全米No.1へ駆け上がった“In Da Club”と“21 Questions”を収めた初のアルバムだ。シンプルにダイナミクスを追求するドレーの理想が、声を荒げない50の不穏なフロウに融合した金字塔!

 

50の初作に凄まじい追い風が吹くなか、同年に発表されたGユニット名義でのアルバム。クルー作品でも50の目立ちっぷりは最高だし、ロイド・バンクスとヤング・バック各々のキャラを出した援護射撃が光る。VIPはジョーの歌う幻想的な“Wanna Get To Know You”。

 

50 CENT The Massacre Shady/Aftermath/Interscope(2005)

下世話なトピックやキャッチーなフックで即効性をアップしつつ、あくまでも主役の落ち着いた語り口にフォーカスするシンプルな作りは変わらず。先だってスザンヌ・ヴェガにサンプリングされた“Candy Shop”など、自信たっぷりで色好みな自己の姿を規定する50が美しい。

 

50 CENT Curtis Shady/Aftermath/Interscope(2007)

カニエにあえて挑んだセールス対決も記憶される名作。フックの鼻歌感覚が何ともカッコイイ“Amusement Park”や素うどんのような“I Get Money”、ティンバランド&ジャスティンとのビッグ・チューン“Ayo Technology”など、曲単位では過去最高のブツが並ぶ。

 

前作にほぼ不在だったトニー・イェイヨーの復帰は叶ったものの、ヤング・バックとの関係がこじれて不明瞭なまま登場した、クルーでのセカンド・アルバム。オートチューンの使用やNWAのリメイクもあって飽きさせずに楽しませる工夫は流石だ。

 

結果的にインタースコープでの最終作となる(?)4作目。全体的にやや散漫にも響いてくる部分はあるが、ニーヨの歌う“Baby By Me”のような新味から、いかにもドレーらしい重厚な“OK, You’re Right”まで、風格の違いをしっかりマイクに乗せる技量はやはり別格だろう。