米・シカゴを拠点に活動する新世代ジャズ・ドラマー、マカヤ・マクレイヴンが来週7月10日(火)、11日(水)にブルーノート東京で、単独では初の来日公演を行なう。
スピリチュアル・ジャズの巨匠アーチー・シェップのバンドでも活動したドラマー、スティーヴン・マクレイヴンとハンガリーの民謡歌手の母親の元で幼少時代から多様な音楽に触れ、若き頃はヒップホップ・バンドに所属し、ウータン・クランや50セントの前座も務めたというマカヤ。ドラマー/音楽家として大きく注目されるきっかけとなったセカンド・アルバム『In The Moment』(2015年)は、トータスのジェフ・パーカー『The New Breed』(2016年作)にも影響を与えたとされ、トータス周辺のポスト・ロックに音響派などシカゴ・シーンの多様な人脈から、今注目を集めつつあるロンドンのジャズ・シーンとも繋がりを持つなど、今もっともおもしろい動きを見せているドラマーのひとりだ。
最新アルバム『Highly Rare』(2017年)も話題を呼ぶなか、ちょうど先日ロンドン・ジャズの面々とセッションしたミックステープ『Where We Come From(Chicago x London Mixtape)』も発表したばかりのマカヤ。その作品群はいわゆるジャズ・ドラマーのリーダー作とは違い、〈ビート・サイエンティスト〉の異名も持つ彼のプロデューサーやビートメイカーとしての才能も生かしたものとなっており、ジャズ・ファンのみならずヒップホップやクラブ・ミュージック界隈などのリスナーまでカヴァーする音楽性の広さも特徴だ。
今回Mikikiでは来日公演を前に、マカヤの大ファンを公言するDJ/ライター/プロデューサーの大塚広子と、Yasei Collectiveとしてニュー・アルバムの発表も控えるドラマーの松下マサナオとの対談を実施。大塚が総合プロデュースを手掛けるRM jazz legacyでの共作など旧知の間柄の2人に、新時代のビートを牽引する音楽家の魅力と、この公演が見逃せない理由を語ってもらった。
ドラマードラマーしてない
――大塚さんが知ったマカヤをきっかけはなんだったのでしょう?
大塚広子「『Jazz The New Chapter 3』に『In The Moment』(2015年)のディスクガイドが載っていたのを見たのがきっかけだったと思います。でもそれ以前に、彼のお父さんのスティーヴン・マクレイヴンのことが昔から大好きで。ジャズのレコードを収集するなかで、スティーヴンが参加しているレコードを特に集めていたくらいなんです。よくDJでもかけていたんですが、彼のレコードは自分がDJをやりはじめたときくらいからずっとかけていて。なので、マカヤがそのスティーヴンの息子だと知ったときはビックリしましたし、〈絶対にこの人はヤバい!〉と確信しました(笑)。
アルバムもすぐに聴いたんですが、最近にはない質感があって、昔のジャズと今のジャズを繋ぐような、ジャズのおもしろさを真っ先に感じて。久々に新作でドンピシャで、すぐに大ファンになってしまいました(笑)」
――なるほど。ちなみに、そのよくかけてたスティーヴンの作品は?
大塚「スティーヴンのカルテット名義で、サックスのサム・リヴァーズがフィーチャリングされている『Intertwining Spirits』(82年)です。これに収録されている“Urges”という曲を、当時の自分のプロモーション用のCDにも入れていたくらい大好きでした。
あとは、スティーヴンのデビュー・アルバム(79年作『Wooley The Newt』)が好きで。けっこうマイナーな、サン・ラとかも出しているようなスピリチュアル・ジャズ系のレーベル(Sweet Earth Records)から出ていて。彼の音楽的なスタイルやドラマーとしてのスタイル、また楽曲の雰囲気とかが、すごく精神的にぐっとくるようなものがあるんです。彼の関わっている作品はマリオン・ブラウンとか、レア盤とされていたりとかするんですけど、彼を追って聴いていくといい作品ばかりで、自分にとってスティーヴンはキーパーソンだったので。マカヤももちろん好きになりました」
――松下さんはどういうきっかけでマカヤを知りましたか?
松下マサナオ(Yasei Collective)「マーク・ジュリアナとかも出ていたりする〈Reverb.com〉っていうドラム・チャンネルがあるんですけど、そこでアップされていたマカヤのドラミングの動画を観たのが、ちょうど去年くらいでした。でも、特にそこで同じドラマーとして彼のプレイに注目はしなかったんですが、その後『In The Moment』を聴いて、彼のドラマーというよりトラックメイカー、プロデューサー的な側面に興味を持ちました。サンプリング的に自分たちの演奏のスクラッチを曲に持ち込んでいく感じ。かっこいい部分だけをピックアップするというか、曲の形を呈してないところがすごく気になって。
音源を聴くといい意味でテクニックより質感や音色に耳が行きますが〈Reverb.com〉の動画を観ると、単純にドラムがめちゃくちゃ上手いなあとわかりますよね。タワー・オブ・パワーのデイヴィッド・ガリバルディとかで知られる、リニアパターンという一個一個音を重ねないで組み上げていく奏法があるんですけど。マカヤは動画でそのレクチャーをやってて。結構身体ががっしりしてるんだけどめちゃくちゃ音量は小さくコントロールできて、音はどっしりしてるんだけどトータルでフラットなバランスで奏でられるテクニックを持っているんです。しかも喋りも超明るくて(笑)。お父さんのスピリチュアルなイメージと反して、からっとした、すげえいい兄ちゃんって感じなんですよね(笑)」
――松下さんは83年生まれで、マカヤと同い年なんですね。同世代としてルーツとなる音楽などで共感するところはあったりしますか。
松下「いやー、どうですかね。例えばマカヤのルーツのひとつにヒップホップがありますが、俺もそこはもちろん同じく影響受けてますが、アメリカ行ってからの話ですからね……。マカヤはお父さんがジャズの巨匠で、NYにおそらく長いこといて。それで彼くらいの年代だったら、キッズの頃からそういった音楽を生で体感していたでしょうから、それは大きな違いかと。
でも、例えば日本だったら、僕の10個下がちょうど石若駿なんですけど、彼らの世代の考えるヒップホップもジャズも、僕らが考えるそれとはまったく違くて。コンテンポラリー・ジャズをひとつとっても、僕らの世代が代名詞的にあげるのがジョシュア・レッドマンのあのアルバムだよねっ!とか思っていても、彼らにしてみれば〈それってスタンダードすよね?〉という話になっちゃってたり(笑)。だからその世代っていう話だと、国や環境が違いますからもちろんわからないところもありますけど、マカヤとはけっこうなんだかんだ近いところあるかもしれないです。作品も一般的なドラム・リーダー作とは思えないですけど、生活の近いところにヒップホップもジャズもあった人だから、ああやってドラマードラマーしてないんでしょうね。彼のそういったルーツがプレイにもサウンドにも出ている。そのへんは俺とは真逆かも」
拠点とするシカゴ・シーンやUKジャズ・シーンなど、多彩な繋がりから生まれるサウンドの魅力
――マカヤの生まれはフランスで、そこからアメリカに渡りジャズだけでなくヒップホップに影響を受け、若き頃はヒップホップ・バンド(Cold Duck Complex)に所属して精力的に活動していたそうです。
大塚「彼のインタヴューを読んでいると、東海岸のDJプレミアとかルーツ、ピート・ロック、それからもちろんJ・ディラとかの名前を影響源として挙げていて。彼らDJの作っているビートがどうなっているのか知りたかったと、それが生ドラムとビートを組み合わせた音作りをするきっかけになったと話していますね。生活環境のなかでごく自然とそういった東海岸のヒップホップのトラックメイクに興味がいったんだろうなって。
あと、マカヤの母親がハンガリー民謡のシンガーなんですが、ハンガリー民謡の変拍子というか、奇数の拍子の乗り方が自然と身についているのかなとも思います。そういった自分のなかに自然にあるリズムが音に反映されていることが、なんとなくエゴっぽくなく自然と入り込めるマカヤのサウンドの魅力の秘密はそこなのかなとも思ったり」
――大塚さんはDJの現場でマカヤの曲をかけているとのことですが、かけた時のフロアの様子は?
大塚「『In The Moment』もそうですが、『Highly Rare』は特によくかけてます。フロアではヒップホップのBボーイたちが踊ってる場面も見かけますし、例えばハウスとか、デトロイト・テクノやディープハウスとかセオ・パリッシュ好きが集まるようなイヴェントでかけてもハマりますね。マカヤの曲はトライバルな雰囲気のものもあるので、4つ打ちとも合わせやすかったりするんです。『Highly Rare』は、シカゴのDanny's Tavernという場所で、ベルギーのレフトオー(LeFtO)というDJと一緒にやったギグの様子を録ったものだそうで、そういうジャズ界隈だけじゃない幅広い繋がりで作ったからクラブユースな雰囲気が自然に出たんじゃないかなと。それと先ほどお話した母親のハンガリー民謡の影響からくる自由なリズム感とかも同じく、クラブユースということに繋がるんじゃないかと思っています」
――DJ界隈での注目度はどうでしょう?
大塚「マカヤとも一緒にやっているジョー・アーモン・ジョーンズとか、いまちょっと流行ってきている南ロンドンのジャズ・シーンを追ってるDJも多いので、そこで繋がってくるかもしれないですね。この間DOMMUNEでやった松浦俊夫さんプロデュースのクラブ・ジャズの番組※に私もDJで参加したんですけど、それにレフトオーもDJで出てて、マカヤの曲もかけてたんですね。その時のレフトオーのセットが、UKジャズ・シーンとマカヤの曲や彼が今拠点としているシカゴ・シーンとを繋ぐ選曲で、すごく好評価だったと聞いていて。そういう意味でもDJの注目度も高くなってくると思いますね」
※「REBIRTH OF THE COOL 2018 -クラブとジャズ 現在過去未来」
――シカゴには偶然移住してきたそうですが、現地でのジャンルを越えたアーティストとの交流によって、今注目されつつあるシカゴ・シーンのキーパーソンとも言えそうです。
大塚「そうですね。以前からシカゴではトータスのジェフ・パーカーやジョシュア・エイブラムス※周辺の人たちがロダンという場所で即興のウィークリー・セッションをやっていたようで、その動きはマカヤが『In The Moment』の素材にしたレギュラー・セッションにも繋がっています。シカゴのおもしろいシーンをジャンルを越えて自分のやり方でパッケージして繋いでみたかったのかなって。で、個人的にもそういうやり方にすごく親近感を覚えるというか(笑)、シカゴのすごい奴らに密着取材したみたいなレポート感というか、活き活きとした雰囲気が出てるなって」
※タウン&カントリーのメンバーであり、ジョーン・オブ・アークなどにも参加する音楽家。シカゴ音響派の要人
――彼自身もシカゴのミュージシャンとやることにこだわっていますよね。〈シカゴにはさまざまなシーンがあるけど、それが繋がれていなかったから、その役を担いたい〉というようなことを「Jazz The New Chapter 5」の最新インタヴューでも語られていましたし。松下さんの周りでマカヤに注目している人はいますか?
松下「日本ではまだ少ないですよね。でもアルバムを聴いて、若いプレイヤーでジャズ初心者だけど気になっている人なんかが初めて聴く素材としてはめちゃくちゃいいと思いましたね。例えばクリス・デイヴとかはアッパーすぎるでしょ(笑)? もちろんスゴイんだけどどう聴いていいか、理解するのになかなかハードルが高いと思うんですよ。初めての人には。でもマカヤの音楽は、馴染みやすいシルキーな部分が全体的に残ってる現代のジャズというか。トランペットにしてもギターにしても音色の耳馴染みのいいところをわかっててメンバーとして残しているんだと思います。そういうのをすべてそぎ落としてやってるのがマーク・ジュリアナのビート・ミュージックだったり、ニーボディだったりとかだと思うんですけど。彼はそういうのとは反してますよね。
またこのメンバーじゃなきゃダメだという必然性も感じないし、マカヤがいればもうこのサウンドが成立する感じがするんですね。それで〈この人のドラムってどういうドラム?〉と言われたら、まだ生で観ていないので何とも言えないけど、ジャズを聴いたことのない人でも無条件にカッコイイって思えるようなドラマーだと思いますね」
〈いろんな人のなかでやれるのが、自分のスタイル〉
――彼の作品についてもさらにお聞きしたいのですが、昨年リリースの最新アルバム『Highly Rare』は松下さん、聴かれてみて率直にいかがでしたか?
松下「自身のやりたいこと、やるべきことみたいなものをバンド・リーダーとしてちゃんと確信して前進してるんだなって思いましたね」
――前作もそうですが、ライヴ録音したものを編集して加工するという制作方法がユニークですよね。ルーツであるフリー・ジャズやスピリチュアル・ジャズのムードも溶け込ませながら、いわゆるロバート・グラスパー以降の空気感とは全然違うヒップホップとジャズのあり方を表現しているというか。
大塚「どこにも属さない感じがありますよね。ヒップホップだけど〈J・ディラ信仰〉ともちょっと違うし、かといってグラスパーとも全然違うし。……抽象的だけど、私は彼の音楽の質感がすごいと思っていて、そこがヤラれてしまった大きな理由な気がしているんです。埃っぽくて、煙っぽい地下の感じというか、フィールド・レコーディングと言ってしまっていいのかわからないですけど、そんな圧倒的な空気感を出している音楽って今ない気がしていて」
松下「たしかに。わかる気がしますね。音はどうやって録ってるんですかね? 編集は自分でやってるんですか?」
大塚「録音はエンジニアで、そこからの編集はマカヤですね。制作方法に関しては、ファースト『Split Decision』(2012年)あたりのインタヴューで、〈エレクトリックな音をバンドでやろうとしたんだけど上手くいかなかった〉と言っていて。バンドでやってみたけど何か違うと感じて、DJと一緒にセッションするようになったと。DJでトラックを流して生のドラムやサックスでセッションするなかで、単調なヒップホップやハウスとかある程度わかりきったリズムより、そのもう少し先のことをやりたいと思って、そこから自分のリズムを模索しはじめたそうなんですね。それでDJと生ドラムでやっていたセッションでやった即興のドラムだけを抜き取って、それを加工してビートを作りはじめたらしいです。そういうのってちょっと今っぽいというか、これまでにないやり方をいろいろ模索していたのかなって」
松下「最初はエレドラ(電子ドラム)で、パットとかを使ってやろうとしてたんですかね? そういうのを使うイメージはないですけど。彼はスタンダードなジャズ・キットで、メンバーもすごいジャジーじゃないですか」
大塚「制作ソフトはエイブルトン(Ableton)を使っているみたいですね」
松下「チリチリいうような、僕らの世代が思うヒップホップのサウンドってこういう音なんですよね。それをシンプルにバンドでやってミックスしたんだと思うんですけど、今のいわゆるジャズ・ヒップホップの人たちとはまた違っていて、サウンドはエッジーだけど、すごく優しい聴き心地で聴きやすい。でも、ある意味カテゴライズの難しい音楽ですよね。ジャズだけど」
大塚「マカヤは今年またシカゴのレーベル、インターナショナル・アンセムから2枚作品が出るそうなんですけど、ひとつは去年の10月に彼がロンドンに行って、ジョー・アーモン・ジョーンズやカマール・ウィリアムスとか先ほどお話したロンドンの新世代ジャズ・シーンのアーティストたちとのセッションを素材にしたミックステープ『Where We Come From(Chicago x London Mixtape)』で(この取材の直後にリリース)、もうひとつはマカヤ名義のニュー・アルバム。セッションの方は、シカゴとロンドンの新しいシーンとの交流をフックアップする作品になってるので、早くも現地では盛り上がっている感じがしますね」
松下「……そういう情報はどこから仕入れるんですか? (マカヤと)友達なんですか(笑)?」
大塚「大ファンなのと、まあオタクなんですよ(笑)」
――(笑)。マカヤはいつ頃からロンドンのシーンと交流を持っていたんでしょうか。
大塚「アメリカ以外の海外メディアで『In The Moment』が取り上げられたり、ジャイルス・ピーターソンのラジオでもマカヤの作品はいち早く取り上げられてたので、ロンドンのちょっとオタク気質の人たちは(笑)、けっこう早くから知ってたんじゃないかと思います。それでインターナショナル・アンセムのボスも活発な人なので、レーベルメイトたちと一緒にロンドンに行って、今流行りの場所であるトータル・リフレッシュメント・センターで一緒にセッションしていましたね」
――たしかに架け橋的なものになっています。
大塚「でも、ロンドンだけじゃなくて、もっといろんなところに足を運んで、現地のアーティストと一緒にセッションした作品をどんどん作ってほしいなと、勝手に思っています(笑)。いろんな国のミュージシャンとこういったフィールド・レコーディング的な作品を作ることで、シーンも活性化するので。なので、次は日本のミュージシャンとやってほしいんですよ。そういう場を作れたら素敵だなって思ってるんですけど」
――そういったマカヤのフットワークの軽さは彼の音楽性にも繋がりますね。
松下「フットワークが軽いって、ミュージシャンとしてものすごい武器なんですよね。自分も防御的になってしまう時期があったんですけど、最近はできるだけオープンでいようと思っていて。例えば知らないミュージシャンとは一緒にやらないって決めてる人もいるけど、それじゃあ全然広がらないですから。だからマカヤのような活動は日本のアーティストも絶対に見習うべきですよね。
僕、ストレイテナーのひなっちさん(日向秀和)と月イチでジャム・セッションをやってるんですけど、毎回いろんなアーティストがゲストでくれていて。ソイル(SOIL & "PIMP" SESSIONS)のタブゾンビさんやRIZEの金子ノブアキさん、SPECIAL OTHERSのヤギさん(柳下“DAYO”武史)とかがゲストで演奏しにきてくれて、ノープランでセッションするんですけど。誘うときにマネージャーを通してくれなんて言われたこと一度もないんですよ。お客さんも求めてるからチケットは必ずソールドアウトするし、こういう試みはやる側の僕らがオープンでいないと盛り上がらないんですよね。だからってわけじゃないけど、どのシーンもライヴをただこなしているだけじゃなく、オープンな姿勢で一個一個のイヴェントに意味合いを持ってやらないとな、とは思います。
で、マカヤがやっているのはそれの際たる例だと思うんです。フットワークが軽くて、どんなジャンルのアーティストとも積極的にやる、どんな国でもいく。そして、ドラムだけじゃなく自分一人でなんでもやる。そういうことをやれているマカヤみたいな音楽家は、プロ・ミュージシャンにもチェックしてほしいですよね」
大塚「以前マカヤがアメリカのリベラルな方の社会記事を扱うサイトで、労働者としての生活についての取材を受けていて。その記事で彼は、ホテルとか、何にも知らされず行ったところがお葬式だったりとか(笑)、ホントいろんなところで演奏をしていたと。今はやりたいことができてるんだけど、それはいつも違う人と会って、いつもと違う場所に行ったことが、今に繋がっているんだと言っていて。まさに今松下さんがおっしゃったことだなって思いました。いろんな人のなかでやれるのが、自分のスタイルだと言っているんですね。向こうの社会の評価としてもメディアに〈not your every drummer〉と書かれていたりしていて、ジャズ・ドラマーとしてはちょっと違うヴィジョンを持った、新しい、これからを作るジャズ・ドラマーなのかなって思いますね」
要注目のメンバーを率いた来日公演への展望
――さて、最後にライヴへの展望をお聞きしたいです。大塚さんは昨年に東池袋・KAKULULUで突如行われた『Highly Rare』のリリパをご覧になっているんですよね。
松下「曲というよりかはセッションって感じだったんですか? 行きたかったなー」
大塚「キーボードとパッド(エイブルトン・コントローラー)があって、キーボードで弾いたものをループさせながらすぐドラムスティックを持ってドラムも叩いて……という感じだったと思うんですけど、音源を再現していましたね。すごく盛り上がってました」
松下「観たかった! その時はそれ一本だけのために日本に来てたんですか?」
大塚「たまたま旅行で日本に来てたみたいです」
松下「ライヴ動画をいくつか観てて思ったのは、温度があまり高いところまではいかないでわりとずっとローでステイしてる感じがクールでかっこいいなって。でもホント生で観ないとわからないですね」
――今回の編成についてはいかがですか。
大塚「サックスのグレッグ・ウォードは、ラージアンサンブルでNY録音したアルバム『Touch My Beloved's Thought』(2016年)もジャズ界でも評価が高かったですし、トータスやプレフューズ73との繋がりもあるので、ジャズ・ファンだけじゃなく幅広い層にアプローチできるミュージシャンですよね。ギターのマット・ゴールドはNYのヴォーカリスト、サラ・セルパと音響系のセンスの良い作品を最近出していますし、『Highly Rare』にも参加しているベースのジュ二アス・ポールはアート・アンサンブル・オブ・シカゴにも参加していたり、チコ・フリーマンと共演してたりしますね」
――ジュ二アス・ポールはAACM周りやアーネスト・ドーキンス、ロスコー・ミッチェルのバンドでも活動しているそうですね。
松下「やっぱりこの作品をライヴでどう再現するのか?ってのがめちゃくちゃ気になるので、やっぱりとにかくライヴで生で観てみたいです。今日話してて余計行きたくなりましたね」
大塚「はい。ここまでお話してきたように本当に今観てほしいポイントばかりなアーティストなので、ぜひ足を運んでみてほしいですね。私もすごく楽しみにしています!」
Live Information
マカヤ・マクレイヴン
日時/会場:2018年7月10日(火)、11日(水)ブルーノート東京
開場/開演:
・1stショウ:17:30/18:30
・2ndショウ:20:20/21:00
料金:自由席/7,000円
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来日メンバー:
マカヤ・マクレイヴン(ドラムス)
グレッグ・ウォード(サックス)
マット・ゴールド(ギター)
ジュニアス・ポール(ベース)
★公演の詳細はこちら
大塚広子
・DJスケジュールはこちらをチェック!
・総合プロデュースを手掛けるRM jazz legacyの最新作『2』のアナログ盤も好評発売中!
Yasei Collective
約2年ぶりとなるフル・アルバム『stateSment』が7月18日(水)にリリース!